2006/8/3

今夜はこの人の事を私的に・・・・・Pat Metheny  木曜:Jazz & Classic Library

恐らく僕と同じ世代を境にして裾広がりにパット・メセニー達の作り出す音楽を楽しんでいる人は世の中にたくさんいる。それだけ長い歴史を辿ったエポックメイキングなパット・メセニー・グループ(PMG)の奏でるサウンドはいつ聴いても良いものです

さて、そんなPMGの音楽が決定的になったアルバムと言うと、みなさんいろいろとあると思いますが僕の場合はコレ。
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『OFFRAMP/Pat Metheny Group』(ECM/1981年)

今夜は(いや、も、か)私的に書きます。見当違いでも突っ走っちゃいます

このアルバムを初めて聴いた時の事は今でもよく覚えている。1982年冬のある日、ピアノの高橋佳作さんと演奏で水戸のライブハウスへ向かう途中の常磐自動車道。確か筑波辺りを走っている時でした。「そう言えばパット・メセニーの新作聴きました?」と佳作氏。「いや、まだ」と運転中の僕。「じゃ聴いてみます?」「うん」。と、カーステレオに佳作氏が入れたテープが「OFFRAMP」だった。夕暮れの薄暗くなってきた高速道を走りながら1曲めが始まりその時は平常心で聴いていた。やがて2曲めの“Are You Going With Me?”が始まった瞬間僕は平常心を失ってしまった。
「どうです? 暗いでしょ」と佳作氏、「暗いねぇ」と僕。「でもそれがいいんですよ」「同感!」
そう、当時はフュージョンブーム全盛期で音楽はやたらと明るかった。業界でも「日本では明るい曲じゃなきゃ売れません」みたいな事を言う奴がいて、僕らは「そんな事はない。それはプロモートする人間がセールスする言葉を知らないだけだ」と反発していた。だからこのパット・メセニーの「OFFRAMP」のヒットは大いに勇気づけてくれた。「偽善的な明るさはすぐに飽きる」。そんなものにわざわざお金を出して買うほどじゃないって人間「も」世の中にはたくさんいるんだ。世の中「明るい」も「暗い」も価値観次第。ニュートラルで行こうよ。

と、私的な思い出話しで終わるつもりはありませんよ。

初期のアルバムはバンドのキーボーディストLyle Maysも言うようにパットのアイドルだったヴィブラフォンのゲイリー・バートンの音楽を自分達らしいやり方で展開していたと言えるかもしれないけど、このアルバムからは自分達のバックグラウンドをもっと広げた結果がパット・メセニー・グループというサウンドを確立させて今日まで続いている。それ以前を「もしも」パット・メセニー・バンドと呼べるならその変化がわかる。

その後のPMGのアルバムで僕ははっきりとわかったんだけど、アメリカでも日本でも同じ音楽を同じように感じて育ったミュージシャンがたくさんいる、という事。

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左/『Still Life (talking)/PMG』(Geffen/1987年)
右/『We Live Here/PMG』(Geffen/1994年)

PMGを最初から「自然」に楽しめたのは、そこに展開されている「音」が突拍子もない物じゃなく、ジャズという音楽を聴いていると必ず何処かで出会っている「音」だったからだと思う。なのでウッチン、タッチンのフュージョンブームの盛りにPMGを聴いて「この人達はジャズをやっている」と感じて親しみを持てたからだと思う。
そう言えばボサノヴァもお祭り騒ぎの音楽じゃないブラジリアン・ミュージックとして生み出されたとアントニオ・カルロス・ジョビンが言ってたな。

パットがアイドルだったゲイリー・バートン、バートンの周りにあったスティーヴ・スワロウ、カーラ・ブレイ、ボール・ブレイ達の音楽、そしてビル・エバンスやキース・ジャレット等、ほぼ僕らの世代が聴いてきたメインストリームは言うに及ばず、そんな僕らがメインストリーム以外でも心踊らされたミュージシャンがいる。

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左/『THE SIDEWINDER/Lee Morgan』(Blue note/1963年)
中/『THE PRISONER/Herbie Hancock』(Blue note/1969年)
右/『SMACKWATER JACK/Quincy Jones』(A&M/1971年)

例えば「Still Life(talking)」はPMGの音楽が南米を向いた・・なんて言う人もいるけど、僕はずっと視点はアメリカなんだと思ってる。実際にこのアルバムはアメリカの大地によく似合うんだ。例えば“(IT'S JUST)TALK”なんかリー・モーガンの“Totem Pole”のようなエキゾチックなアフロキューバン・ジャズが好きな人ならそれの新しい形がきっと共感と共に見えるだろうし、ライル・メイズがロングスペースのソロを与えられる作品からはハービー・ハンコックの“I Have A Dream”を敬愛してやまない気持ちが伝わってくるし、「We Live Here」ではクインシー・ジョーンズのようなオーケストレーションを楽しんでいるようだ(実際にクインシーのこのアルバムにはマービン・ゲイの“What's Going On?”も収められている)。

最近はそのように言うと「パクリだ」と言う人がいるが、そんな「愛」の無い「モノマネ」だったら、こんなにも長く聴いてられないよね
完全に消化した自分達の音楽としてそこに成立しているんだ。

PMGの音楽の魅力は「アメリカン・ジャズ」という部分が常に感じられるから好きなんだなぁ。「ジャズ」って一体何なんでしょう。不思議な魅力に溢れた音楽である事だけは言えるけど、、、、、


今夜御紹介したパット・メセニーのアルバムで好きな曲は
「OFFRAMP」“Are You Going With Me?”、「Still Life(talking)」“(IT'S JUST)TALK”、「We Live Here」“To The End Of The World”...

おしまい



2006/8/6  6:29

投稿者:あかまつとしひろ

>toshi novaさん
あ、ソレ、かすかに記憶あります。何でカフェ・オレ
なんだろう?って(ひょっとしてイチオシの曲がAu Lait
だったとか・・まさか)今では考えられないキャッチコ
ピーでしたね。購入は輸入盤LPが最初だったのでサイ
ドキャップ(当時はタスキでしたね)は無かったんです
よ。OFFRAMPは全曲がその後のPMGの各カテゴリーの元
になっているように思います。1枚のアルバムでこれだ
けバラエティーに富みつつコンパクトで「核」を持っ
てるアルバムって無いですねぇ。LPの収録時間制約(こ
のアルバムは42分44秒)があったのも内容の充実度に繋
がっている気がします。やはりアルバムは45分程度が
一番良いように思います。ブログ再開楽しみです。

2006/8/5  17:42

投稿者:tosi nova

オフランプ・・・・発売当初は「愛のカフェ・オーレ」なんてタイトルがついていて、おいおい・・・、と思いましたが大学時代の愛聴盤です。このブログを読み、オフランプ引っ張り出してブログも再開。当時暗いなあとは思いませんでしたが、それまでのPMGにくらべ「大人」「かっこいい」という感じがしました、大学生でしたし・・。よく「Au Lait」のまねをして「しゃー」なんて言ってました。「Are You Going With Me?」も好きです、あとBarcaroleも1曲目!って感じが好きです。ちょっと違いますがJacoのワードオブマウスの1曲目Crisisも同じ感じがして好きです。残りのアルバムはまたmy blogにて追いかけます。

http://3rdwind.cocolog-nifty.com/blog/cat2781840/index.html


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