2011/4/28

ヒステリックじゃないジャズがいいよ・・・スティーヴ・スワロウ  木曜:Jazz & Classic Library


最近ジャズのピアノトリオの音がヒステリックで耳につく。

まるでポテトチップスの迷走するフレーバーのように、音数に音数を足すような感じ。
別に誰も「こんな味がほしかった」と要望しているわけでもなく、ただ単に売れ行きに不安を感じたポテトチップスのメーカーが下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる・・・的に地域限定から期間限定に至るまで、結局は何がしたいのかがわからなくなって売上全体を落としてしまうような、そんな音だ。
普通の美味しいポテトチップスで十分。
その普通を無くしてしまったらアータ、全滅ですよ。

元々ピアノトリオというのは危険と背中合わせだ。
自分で伴奏しながら自分のソロを何でも肯定してしまう。
否定が無い世界だ。
だから、そのバランスを欠いてしまうと、とんでもなくアンバランスになってしまう。

そのギリギリのところをこれまでに何人ものジャズピアニストが開拓して切り拓いて来た。
アート・テイタムしかり、バド・パウエルしかり、ビル・エバンスしかり、ハービー・ハンコックしかり、キース・ジャレットしかり、チック・コリアしかり、ブラッド・メルドーしかり、、、、他にもたくさんのピアニストがそのギリギリのところで踏みとどまってスタイルを確立した。

それが・・・・どうもそういうギリギリの選択ではなく、「やったもん勝ち」みたいな脂肪過多なピアノトリオの音。なんか耳につくね。ポテトチップスの迷走したフレーバーみたいな感じ。

今で言う標準、というものは過去のものとは随分趣きを異にしている。
だから進化は歓迎だ。新しいものは大好きだ。
ただ、ヒステリックなのはどうにも受け付けない。
そういうのが好きな人には悪いが・・・

スティーヴ・スワロウはベーシストでありながら優れた作曲家でもあるのは、今日多くのミュージシャンが彼の作品を演奏している事からも立証されている。
そして何よりも、みんな人間としてスティーヴ・スワロウが大好きなんだ。

そんな彼の作品の中で今日のジャズ全般の「標準」となりそうな作品がコレ。

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『REAL BOOK/Steve Swallow』(watt/1994年)

Real Bookと聞いてこのアルバムのジャケットを見て、思わず「シャレが効いてるなぁ」と笑った人はジャズメンだ(笑)。
それほど有名な、このジャケットに描かれた「Real Book」とは世界中のジャズ・ミュージシャンの必須バイブルとなっている曲集の事だ。
1970年代から僕らも学んだボストンのバークリー音楽大学の教材として授業やアンサンブルで使われていた素材を集めたもので、近年は世界的に出版流通しているが、著作権の関係で内容は昔とは同一ではない。70年代から90年代を通じたバークリーらしい曲が現在版では省かれているのが残念。

さて、そんな「リアルブック」と題したスティーヴ・スワロウのこのアルバム。
これが驚くほど今日のジャズの標準を示しているから面白い。

知的でリリカルなスワロウの曲に耳馴染んだ人には、1曲目からして「おや?」と思うだろう。
典型的なジャズのリズムチェンジの曲(8小節のお決まりのブリッジを挟んだ32小節の早いテンポのスイング)が聴こえてくるからだ。
2管+3リズムという「どジャズ編成」で軽快に綴られる。

メンバーは、

Tom Harrell(tp,fg)
Joe Lovano(ts)
Mulgrew Miller(p)
Steve Swallow(b)
Jack DeJohnette(ds)

もちろんスワロウは愛用のエレキベース。
日本のジャズファンの中にはエレキベースに抵抗を示す人がいるけど、スワロウのようなスタイルであればアコースティックでもエレキでもどちらでもグルーヴするので気にならない。
ジャコ・パストリアスが現役の頃からダウンビートの人気投票では首位と二位をいつもスワロウとジャコが分かち合っていた。それほど人気があり、どのミュージシャンからもリスペクトされているのがスティーヴ・スワロウだ。

2曲目ではまるで1960年代のイタリアン・コメディーの映画音楽のような小気味良いテーマからミディアムテンポのブルースが始まる。

3曲目になると、「待ってました〜!」とばかりにスワロウ・ファンはピアノのイントロに耳が吸い寄せられて行く、正にスワロウらしいサウンドが聴こえてくる。ベースのソロでこのようにメロディック、そしてハーモニックなラインを歌わせたら彼の右に出るものはいない。これはまだアコーステック・ベースを弾いていた頃から少しも変わらないスワロウのスタイルだ。それがエレキベースとなってさらに洗練されているのでアコースティックからの持ち替えは正解だ。

賑やかなサンバが4曲目。シンプルなメロディー・ラインがこれまたスワロウの特徴。
まるでシーソーのように起伏を繰り返しながら気が付くと一周している感じだ。

5曲目はメロウなラインとコード進行のコントラストが心地よいジャズラテン。調性はどこまで回転させるとちょうど心地よくなるのかを知っているスワロウならではのバランス感覚が冴え渡ったナンバー。何のストレスもなく、それぞれのソロが調間を駆け抜けて行く。

6曲目は「ソフトリーのチェンジで」と書かれているように、有名なスタンダードナンバー "Softly as in a Morning Sunrise"のコード進行を使ったラテン。その昔、ビーバップが使った既存の曲のコード進行をそっくりそのままいただいて、新しいメロディーを乗っける、という手法をそのまま実践している。

タンゴとリズム表記された7曲目。スワロウのベースラインはタンゴやハバネラをイメージしたものも多く、そのベース・サウンドともピッタリの相性。

8曲目はリリカルなワルツ。三拍子の時のスワロウのフィンガーリングは特にしなやか。ソロもドリーミーにコードの中を駆け巡る。スティーヴ・キューンとの「トランス」を一瞬思い出してしまう。

2管のユニゾンがスインギーな9曲目は御機嫌。コードチェンジの起承転結にスワロウのハーモニー感を感じられたら自然に演奏出来る曲だ。

さあ、あっと言う間にラストの10曲目。ポニーテールと題されただけあって、軽くウォーキングする様と軽く吹き流すテーマでわくわくさせる。

さて、このアルバム。
実にバークリーのアンサンブルの授業を彷彿とさせるサウンドだ。
何よりも、この全曲の譜面(Cメロ譜)がアルバムのジャケットのライナーノーツ代わり掲載されているのが特権。
楽器が演奏出来るなら、ちょいと拡大コピーして、譜面台に置いて、さぁ、一緒に演奏だ。

僕らがジャズを手探りで始めた頃、毎日レコードを流しながら一緒に演奏した。
何だかわからなかったが、一緒に音をだしている感じがつかめたような、それが全ての入口だった。

実はこれはアメリカのミュージシャンも同じで、そこで見つけた方法をその後の専門教育の習得に繋げた。
教則本など無いところから、全ては始まっていたのだ。

このアルバム、今日のジャズ・ミュージシャンとしての「標準」がいっぱい詰まった作品になっている。
このアルバムを流しながら一緒に演奏してみようゼ。
どこまでジャズ・ミュージシャンとして育っているか、度胸試しのつもりで。

これを「リアル・プック」と名付けたところに、並々ならぬスワロウの自信を感じる。




■ゴールデンウイーク情報

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(4/28〜5/8) Yokohama ImproMusica Fes' 2011
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▼会場:横浜・関内エアジン http://www.yokohama-airegin.com/index.html
▼当日¥3000〜¥3500/予約前売り¥500引き/u23 ¥1500/Drink別(¥500)
▼予約・問い合わせ045-641-9191(エアジン)
▼access→http://www.yokohama-airegin.com/access.html

僕が出演するのは
5/1(日)■市川秀男(pf)Quartet
      plyas Original songs & impure.music. 3:30pm〜
      赤松敏弘(vib)上野哲郎(b)二本柳守(ds) ☆guest:LUNA(歌)



がんばれ東北!
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CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

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