2012/2/16

実は優等生的な1曲目よりもラフでキャッチーなB面1曲目のほうが頭に残っていたりして  木曜:Jazz & Classic Library


日本で言う団塊の世代と同じような表現がアメリカにもある。

ベビーブーマーと言って1946年前後が始まりと言われている。
終わりは日本の団塊の世代よりも長く1960年代にまでかかると言うが、やはりその先兵的なエリアの人達が強烈な印象を残している。

この世代は1960年代のベトナム反戦運動からロックを代表とするミュージック・カルチャーを作り上げ、それまでの「しきたり」をいくつもひっくり返した。
ビートルズ世代、ウッドストック世代の中心は当時二十歳そこそこのベビーブーマー達だった。

そういう事を頭に入れてから今日の音楽を聴くと、なかなか面白い事が見えて来る。


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『WATERCOLORS/Pat Metheny』(ecm/1977年)

初めてゲイリー・バートン・クィンテットのアルバム『RING』(ecm/1974年)でコーラスを効かせたパット・メセニーのギターを耳にして以来、いつも新鮮な音楽を聞かせてくれる姿勢は今でも変わらない。

日本流に言えば、ゲイリー・バートンやチック・コリア、キース・ジャレットらを“ジャズ的団塊の世代”とすれば、パット・メセニー達はその一回り下の世代、つまり“ポスト団塊の世代”の代表のような存在で、その相関図はまったく僕らと同じ世代とする事も出来る。(実際には日本とアメリカのカルチャー的時差があるのだけど)

逆に僕から見れば、日本のジャズシーンで直接的な繋がりで言うと、鈴木良雄さん(チンさん)や市川秀男さん達の世代がアメリカ流のベビーブーマー世代になる。

おもしろいもので、何処の国でも時代と共に同じようなカルチャー世代が育つ。

僕はパット・メセニーよりも少し年下だけど、アメリカと日本の“ミュージックカルチャー的時差”を加味すれば恐らく同じエリアの世代になる。
まぁ、ジャズの場合、聴き始めの年齢もカルチャー的時差に組み込まなければならないので、おおよそロックの場合よりもその時差が大きいのが常だ。

だからかもしれないが、パット・メセニーの音楽には昔からどれも共感出来る部分が多い。

個人的にも子供の頃に初期のゲイリー・バートン・クァルテット(ギターがラリー・コリエルの時代)を聴いて育ったのも同じだし、ゲイリー・バートン氏本人と直接的に繋がったのも同じ。
趣向が同じという事を言っているのではなく、お互いがそれ(初期のゲイリー・バートン・クァルテット)に触れた時代背景が同じ、というところが大きい。
当時ならビートルズやロックなど他にいくらでもその年齢で一般的に面白がる音楽くらいいくらでもあるだろうに、その中からゲイリー・バートン・クァルテットに辿り着いているところが面白い。
音楽は世界のどこに住んでいても、誰でも、年齢など関係なくキャッチ出来るものだというのを実感する。

唯一の違いは手にした楽器だけ。
(余談ながら僕は最初ギターリストが好きでゲイリー・バートン・クァルテットに辿り着いていた)

だからある程度の世界観も共通する部分が多いような気がするわけだ。(っま、これは外れているかもしれないけど)

それらがいつもパット・メセニーの音楽には凝縮していて、そこに多くのファンが共感する、という事だ。

ただ、それが非常に他に例の無いエリアにある、と言うのがパット・メセニーの特殊性でもある。

パット・メセニーの音楽をよくフュージョンと括る人がいるのだけど、それは全然違う。
確かにデビューした頃はフュージョン・ブームだったし、当時同列として並べられていたのがギターリストで言えばリー・リトナーやラリー・カールトンなどだから仕方がない部分もある。

しかし、それはパット・メセニーのデビュー作『BRIGHT SIZE LIFE』(ecm/1975年)を聞けば払拭されるはずだ。
ドラムにボブ・モーゼス、ベースにはジャコ・パストリアスというメンバーで録音された同作品は、いわゆる“日本流”のポップインストルメンタルなフュージョンではなく、本国で言うところのFusion。ロックもクラシックもR&Bもアヴァンギャルドも自分達が共感する全てを含めたジャズだ。

当時の人気カルチャーで分かりやすく言えば、リー・リトナーやラリー・カールトンの音楽は「スタッフ」というバンドに近く、パット・メセニーは「ウェザーリポート」に近い。

実はこの「ジャズ」の認識は1970年代から80年代まで続いており、当時のバークリーを卒業した学生の脳裏には深く刻まれている音楽でもある。

そんなパット・メセニーがゲイリー・バートンのバンドを卒業し、大海に乗り出す魁(さきがけ)となったのがこのアルバム「ウォーターカラーズ」だ。

1.Watercolors
2.Icefire
3.Oasis
4.Lakes
5.River Quay
6.Suite: I. Florida Greeting Song
7.Suite: II. Legend of the Fountain"
8.Sea Song

Pat Metheny(g,12-string g,15-string harp)
Lyle Mays(p)
Eberhard Weber(b)
Danny Gottlieb(ds)

Recorded Feb 1977 at Talent Studios, Oslo.

のちのパット・メセニー・グループの核となるライル・メイズとの初共演であるのもこのアルバムの聴きどころ。
1曲目からしてリリカルで当時のゲイリー・バートンの音楽を自分達流に消化、展開しているのがわかる。
リーダー作二枚目にして申し分なく音楽的素養を発揮しているところが、このアルバムの最大の魅力なのだけど、こういうレビューはきっと他にもたくさんあると思うので僕なりにこのアルバムで思った事を思い出して書いてみると・・・・

実は僕がこのアルバムが発売された直後、手にして一番感心したのがドラムのダン・ゴットリーブのハイハットの使い方だ。

いや、音楽全体も最高だし、パット・メセニーもライル・メイズもエバーハード・ウェーバーも素晴らしい演奏を披露しているのだけど、僕の耳はダン・ゴットリーブというドラマーにピントが定まっていた。

当時は学生で自らのバンドを率い始める直前だったのだけど、やりたい音楽は山ほどあった。
このアルバムを買った時はまだ田舎に住んでいたのだけど、高校時代からそれとなくジャズを人前で演奏しはじめてしばらく時間が経過していたので考えていたのはこれから先に自分がやりたい音楽の事。

それを思い、何よりも一緒に演奏する楽器の事についていろいろと分析している最中で、ドラムに関して僕は当時ハイハットの使い方で極端な好みがある事を自覚していた。

1973年にマイルス・デイビスが二度目の来日を果たした時、コンサートを聴きに行ってドラマーのアル・フォスターのハイハットがハーフオープンにチューニングされている事にずっと目と耳が行っていた。

大変失礼な事を言うと、アル・フォスターというドラマーは典型的なジャズ・ドラマーで、当時のマイルス・デイビスが演奏していたファンクやゴーゴー寄りの音楽を表現するドラマーであれば他にもっと上手なドラマーが山ほどいた時代に、なぜ、この古典的なフィーリングのドラマーを使うのだろう? と、コンサートがスタートした瞬間は思った。

ところが・・・・

タイトなビートを叩くドラマーはとかく手数に走る傾向がすでに当時でもあったところに、超シンプルなリズムキープしかしないアル・フォスターのドラミングが不思議な空間を作り上げていたのだ。
そしてそこにハイハットのハーフオープン。
効果はビートを細かくするのではなく、ピット(粒)に少しでも余韻を与えて延長させる効果と全体のサウンドの中での存在感を両立させているのに驚いてしまった。
シンプルでも迫力があるサウンドになるのだ。
だから隙間がたくさん生まれる。

当時、ハイハットの使い方でもう一人感心していたドラマーにジャック・ディジョネットがいる。
マイルスと同じ年にスタン・ゲッツのクァルテットとしてリッチー・バイラーク等と来日したコンサートも岡山市民会館で聴いたが、この人のハイハットも規則正しいパターンを奏でるのではなく、ランダムにドラム全体のサウンドのピークを形成するために使うのだ。

その典型として中学校の時に買ったベースのミロスラフ・ヴィトウスのアルバム『Infinite Search(邦題:限りなき探求)』(embrio/1969年)3曲目“When Face Gets Pale”でのディジョネットのハイハットの使い方が強烈に残っていた。

以来、僕はドラムセットの中でも異様なほどにハイハットのサウンドの出し方に興味があり、型どおりにンッチ、ンッチとダウンビートをパターン化して奏でるドラマーをとてもスクエアに感じていたんだ。

そこでゲイリー・バートン・クィンテット(時にはクァルテット)にいた二人のドラマー、ボブ・モーゼスとダン・ゴットリーブのハイハットの使い方に触手が動かないわけがない。
この二人もハイハットが型にハマらないドラマーだった。

パット・メセニーのこのアルバムがなぜ心地よく響くのか。
もちろん主役はパット・メセニーの奏でるギターだ。
ライル・メイズのピアノもちょっぴりハービー・ハンコックが好きなイカした若手ピアニストという印象で迎えられた。
ゲイリー・バートンのバンドで耳慣れていたエバーハード・ウェーバーの5弦ベースもメセニーの音楽に心地よくブレンドしている。

しかし、もっとも僕が注目して聴いていたのは、バンドの中でのダン・ゴットリーブのドラミングだった。

ECMミュージックの優等生的な1曲目“Watercolors”や、コルトレーン・チェンジをソロパートに導入してエネルギッシュな4曲目“.Lakes”がこのアルバムを耳にした頃は何度も繰り返して聴くほどのお気に入りだったが、それからしばらくしてパット・メセニー・グループとして新たに出発したアルバムを聴くようになると、なぜかこのアルバムの(当時はLPなのでB面1曲目)5曲めで、アルバムの中では割と緩いフュージョン・サウンドが聴こえる“River Quay”がいつも頭を過っていた。

リリカルやシリアスはベビーブーマーから受け継ぎつつ、ポスト・ベビーブーマーとしての自分の立ち位置にこのポップな世界があったように聴こえてならなかったのだ。
いや、音楽的同世代としてそこに不思議な安堵感のようなものを感じていたのかもしれない。
そして、この曲のダン・ゴットリーブは、ハイハットをクローズさせて典型的なビートを刻む。
きっとこの曲に関しては「そのまま受け入れて」演奏していたのだろう。
だから、何度聴いても不思議と耳に残る演奏なんだな、これが。

そんな聴き方をしてみると、今までと違った面白さが聴こえて来るかもしれませんよ。




『2011年ベスト・ライブ(動画)』公開中!


2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

・当日のセットリストは以下の通り

[1st set]

1.Trisoniqe......(by Hakuei Kim)
2..White Forest......(by Hakuei Kim)
3.Sound of Focus.....(by Toshihiro Akamatsu)
4.[duet] Newtown......(by Hakuei Kim)
5.Ruby, My Dear.....(arr Toshihiro Akamatsu)
6.Axis.....(by Toshihiro Akamatsu)

[2nd set]

1.The Gleaner.......(by Toshihiro.Akamatsu)
2.[Tribute to 1964's Miles]......So What
3.[Tribute to 1964's Miles]......Stella by Starlight

4.[Tribute to 1964's Miles]......Walkin'
5.[duet] Silent Butler.....(by Toshihiro Akamatsu)
6.Kuala Lumpur......(by Hakuei Kim)

[Encore]

1.Dear Old Stockholm
2.O Grande Amor

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

・セットリストの赤文字の演奏をアップしています。
・動画は従来通りMySpace版と、プラグインの関係でMySpaceビデオがご覧になれなかった人向けにYouTube版もアップしています。
・MySpace版YouTUbe版とも、どちらも同じ内容です。


[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




[MySpace版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部1曲目



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]






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CDレビュー→http://www.jazzpage.net/rireki/cd/akamatsu_axis.html

CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

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