2012/5/24

この人の音楽は生れた時からその爽やかさというバランスが絶妙だった・・・  木曜:Jazz & Classic Library


僕がジャズを聴き始めたのは小学校の時。実家(松山)が改築で建て直した時に一階のテナントにジャズ喫茶(後にジャズバー)が入って、当時の同種の店は大音量で音楽を流すのが常だったので僕の部屋の側にあった換気口を通じて毎晩勉強に勤しんでいると(笑)ほどよい音量で聞こえて来る摩訶不思議な音楽に心ウキウキしたのが始まりだ。

店の正面の看板には大きく「JAZZ」と書かれてあったので、それがジャズという音楽なんだと認識した次第。
そんなに有名にはならなかった店だが、ジャズジャーナリストの岩浪洋三氏が松山出身という事もあって、帰郷中に立ち寄った氏とこの店のマスターが音楽の論議で大ゲンカになったという逸話がある。
一説にはマスターが店の奥にセットしていたドラムセットのシンバルを氏に投げつけて「帰れ!」と言ったとか言わなかったとか・・・(笑)

四国の片隅とは言え、街にはジャズ喫茶が12〜3軒あり、なかなかジャズには熱い街だったのだ。

ただ、やはり小学生が一人でジャズうんぬんとさすらうのは無理とばかりに、父親が買い与えてくれたのがジャズ関係の雑誌だった。

『音楽専科』という雑誌と、つい最近まで存続していた『スイングジャーナル』。

まぁ、ジャズに対する興味なんて一時的なモノだろうと思って、ややカシムズな記事と妙な格好の連中が妙な目つきで写った写真を眺めるうちに気も変るだろう的に父親は思っていたのだろうけど、ところがどっこい、こちとら初めて音楽でビビビッとキタものだから逆に起爆剤になってしまったわけだ。

音よりも前に写真で折り合いを付けようとしたのかもしれない。
最初の頃は雑誌は買ってくれたがレコードは自分で探して買いなさいと言われた。

そんなんわけで、自分がジャズと出会った時期をほぼ正確にこの本とともに記憶している。

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スイングジャーナル1968年11月号

この本をめくると最初に飛び込んで来るのが・・・

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うずまきのような妙なマークと「キース・ジャレット登場」というコピー。

そう、僕は知らずの内に、このジャズと出会った長い時間のスタートにキース・ジャレットと「うずまき」印があったのだ。

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この二人のピアニストが共に初リーダー作を残したのが「うずまき」印のヴォルテックスというアトランティック・レコードの子会社だったという事は、今となって偶然とは思えないくらいインパクトがある。

しばらくするとマイルス・デイビスが『ビッチェズ・ブリュー』(cbs/1969年)を出して話題になるが、僕はその前に『マイルス・イン・ザ・スカイ』(cbs/1968年)というロックに初挑戦したマイルスのアルバムを購入している。

だから音楽としてジャズというのは何でもOK、どんな音楽とも接近可能な音楽だ、という認識が芽生えた。

さて、この時期から小学生でも面白いと思うジャズがポンポンと発売され、レコード屋通いが趣味となった。

で、さっきのキース・ジャレットのアルバムは早々に輸入盤で購入し当然の事ながら当時のフラワームーブメントの仲間とも称されたチャールス・ロイドの『Forest Flower』(atlantic/1966年)と合わせて楽しんでいた。

しかし、もう一人のピアニスト、チック・コリアはと言うと、これが意外にもマイルス・デイビスのフィルモアを経てアンソニー・ブラックストーンというリード奏者と「サークル」というフリー・ジャズのグループを結成していた事から、小学〜中学の僕は何となく“うさん臭くて”避けて通っていたわけ。

それが一度に氷解したのが、真っ白なジャケットに赤い文字の『Piano Improvisations Vol-1』(ecm/1971年)というソロピアノのアルバム。
しかも面白い事に、同じ頃に同じECMレーベルからキース・ジャレットも『Facing You』(ecm/1971年)というソロピアノのアルバムを発売して来るじゃないか。

松山の有名店“まるいレコード”の二階のジャズ・クラシックコーナーの店長カンちゃんに「どっちがいい?」と質問して二つとも店内で聴き比べてして、結局両方買ったのでした。

キース・ジャレットは図らずしてデビュー・アルバムから聞いていて(その途中には師匠のゲイリー・バートン氏との共演盤もインパクト大でした)ソロピアノを聞いても「変らず」の印象が心地よかったのですが、チック・コリアのアルバムはこれが初めて。
しかもこのソロピアノ集のvol-2はちょっと現代音楽風な物が多く、vol-1のみ購入したのですが、これがまた爽やか。
キース・ジャレットがアーシーなピアノを弾く印象を持っていたのに対して、チック・コリアは爽やかな印象がこのソロアルバムで生まれました。
それからというもの、僕が高校音楽科に入ってますます音楽と向き合う時間が増えた時に、あのアルバム『Return to Forever』(ecm/1972年)となるのですから、この二人の音楽にどれだけ刺激されて育ったか測り知れません。

で、

初代リターン・トゥ・フォーエバーに夢中になっていた最中に中古レコード店で見つけたのがこのチック・コリアのデビュー・アルバムでした。

残念ながら中古レコードの音質はお世辞にも良いとは言えず、上京する時に処分してしまって久しかったのですが、先般のリイシュー・ブームでめでたくCDとなって三十年振りの再会です。


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『Tones for Joan's Bones/Chick Corea』(vortex/1966年)

1.Litha (Corea)
2.This Is New (Gershwin, Weill)
3.Tones for Joan's Bones (Corea)
4.Straight up and Down (Corea)

Chick Corea - piano
Woody Shaw - trumpet
Joe Farrell - tenor Saxophone, flute
Steve Swallow - Bass
Joe Chambers - drums

Recorded on November 30 and December 1, 1966.

あの「サークル」は一体何だったのだろう・・・?
このアルバムを最初に聴いた時に思った正直な感想だ。

当時1970年代真っ盛り。
どんどん色合いを増して加速して行く音楽もあれば、暴走の果てに衰退してゆく音楽もあった。
ところが、このアルバムが録音され発売されたのは、そんなピークを迎える遥か以前の、まだ1960年代の半ばという時間。
人類の音楽に永遠という言葉に陰りが見え、60年代前半の希望に満ちた音楽から、破滅の音楽へと大きくシフトしている時期だ。

それなのに、この爽やかさを伴う音楽。
やはり、チック・コリアという人の音楽は生れた時からその爽やかさというバランスが絶妙だったのだろう。

で、

このアルバム。

実は後年演奏する機会がこんなに多くなるとは夢にも思っていなくて、CD化されて、ああ、こうだった、こうだった、と自分の解釈とチック・コリアの解釈を摺り寄せて楽しんでいたりするわけ。

みなさん、若いころに聴いて感銘したものはなかなか忘れないものですよ。
ちょっと嬉しくなりました。

音楽をどんどん楽しみましょう。
耳だけでね。(視覚的なものは後でどうにでもなるから)


CDになって驚いたのがドラムの歯切れの良さ。ジョー・チェンバースとはMySpaceでフレンドになっているのだけど、こんなに繊細でかつワイルドなドラミングで演奏していたとはLPの時代では想像出来なかった。

おまいのプレーヤーがヘボだったんだって?
ほっといて!(笑)

“Litha”がCD化でさらにワイドな空間を得たような気がするのは僕だけ?
とにかくゴキゲン。
音質が整理されるってこんなに印象までスッキリするんだねぇ。
6/8と4/4のリズムチェンジが交錯するスリリングなライザ。
バークリー以来、この曲はミュージシャンズ・スタンダードとしてセッションの常連曲。
改めてアルバムを聞くと、演奏している自分の耳と、リスニングしている自分の気分の両方が味わえる。
とにかく爽やかにカッコいいジャズ。

クルト・ワイルの“This Is New”はイントロの爽やかさが後の「Piano Improvisations」を彷彿とさせているのに気付いて新鮮。
リズム・インしてからのテーマがまたカッコいい。
スティーヴ・スワロウのベース・ソロ。
ゲイリー・バートンのクァルテット以来何十年とこの人のベースを聴き続けているが、どこでなにを弾いていても(当たり前だけど)スワロウ感満載。エレクトリックだろうとアコースティックだろうと、この人の音楽は変らないところに凄さがある。
ピアノ〜トランペット、そして若き日のジョー・ファレルのテナー・ソロへとリレー。
ファレルは後の初代リターン・トゥ・フォーエバーのキー・メンバーだ。
ピアノと管楽器に分散したリフの取り方がお洒落。

一転して“Tones for Joan's Bones”はモノトーンなイントロから始まる。
そのミディアム・スイングの中にチック・コリアの鮮やかなピアノ・ソロが展開するというのが聴きどころ。
そしてもうこれ以上の味わいは無いくらいスワロウのベース・ソロがたっぷり味わえる大満足のトラック。

最後はモード感満点の“Straight up and Down”。
アカデミックなテーマを駆け抜けて快調に飛ばすチック・コリア。
この辺り、後の“The Mad Hatter”(1977年)と通ずるものがあって、実に十年という時間の差を軽々とと飛び越えて行くようなスリリングな演奏が続く。
最初「おい、どーした?」と思うようにピアノのソロに飛び出したヴディ・ショウも改めてソロで燃える、燃える。ちょっとしたアクシデントが起爆剤になったかのようなソロが見事。
ショウと入れ変わるように入って来るファレルとチック・コリア、ジョー・チェンバースとのインプロヴィゼーションがスリリング。やがてスワロウが加わりリズム・イン。
(たぶん)ソロ・チェンジはフリー・インプロヴィゼーションを経て行われる約束なのだろうけど、ソリストが替わる毎に面白い展開が生れる。
最後はジョー・チェンバーとの丁々発止なスペースを経て、鮮やかなシンバル・ワークからテーマに戻るスリリングな展開に、今でも拍手を禁じえない拍手拍手拍手拍手拍手拍手

そして、それがどこまでフリーになっても爽やかなのだ。
すると・・

あの「サークル」の音楽とは・・・? 

に続くのだけど、

人間で言えば反抗期、思春期と同じく感性や感情を育むには必要な孤独な冒険だったのかもしれないね。



『BEST LIVE 2011(動画)』公開中!


2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

・当日のセットリストは以下の通り

[1st set]

1.Trisoniqe......(by Hakuei Kim)
2..White Forest......(by Hakuei Kim)
3.Sound of Focus.....(by Toshihiro Akamatsu)
4.[duet] Newtown......(by Hakuei Kim)
5.Ruby, My Dear.....(arr Toshihiro Akamatsu)
6.Axis.....(by Toshihiro Akamatsu)

[2nd set]

1.The Gleaner.......(by Toshihiro.Akamatsu)
2.[Tribute to 1964's Miles]......So What
3.[Tribute to 1964's Miles]......Stella by Starlight

4.[Tribute to 1964's Miles]......Walkin'
5.[duet] Silent Butler.....(by Toshihiro Akamatsu)
6.Kuala Lumpur......(by Hakuei Kim)

[Encore]

1.Dear Old Stockholm
2.O Grande Amor

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

・セットリストの赤文字の演奏をアップしています。
・動画は従来通りMySpace版と、プラグインの関係でMySpaceビデオがご覧になれなかった人向けにYouTube版もアップしています。
・MySpace版YouTUbe版とも、どちらも同じ内容です。


[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




[MySpace版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部1曲目



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]






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CDレビュー→http://www.jazzpage.net/rireki/cd/akamatsu_axis.html

CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

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