2012/11/30

本日はMusser New Model M55GJ オーバーホール・リポート  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第二百八十八回目の今日は緊急特集『Musser New Model M55GJ オーバーホール・リポート』です。
レギュラーの音楽的読唇術は次週お届けしますね。



昨夜、久しぶりにチンさん(ベースの鈴木良雄さん)に会った。数えてみたら4年振り。昔は毎週のように会っていたのに。新ピのGENERATION GAP。
覗けたのは二部の途中からだったがよく新ピのチンさんのライブで演奏した「ルーレット」や「ウイングス」など懐かしい曲が次々に。かつて演奏した曲を他人がやるのを聴くのは不思議な感じ。メンバーのハクエイくんの「ニュータウン」もやっていた。
終演後、チンさんを囲んで残っていたお客さんとしばし歓談。ある女性からMCで「あまり曲について説明がなかったような気が・・・」とツッコミ。「きっとチンさんの滑舌が悪いから聞こえなかったんだよ(笑)」と僕。透かさず「だってハスキー(歯隙き)・ボイスだもん!」とチンさん。
そのレスポンス(駄洒落)の良さは昔とちっとも変らない(笑)。ううん、、あれ?
気が付くとメンバーは蜘蛛の子を散らすように御帰宅。おいおい、リーダーを一人で放置してどーするんだ!? 仕方ないなぁ。。。と、言いながら久しぶりにチンさんとカンバンまで話した。ピットイン従業員のみなさま、遅くまでありがとうございました。

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撮影:ハクエイ・キム ―



木曜日のブログでお知らせした通り、先週のツアー後、ミナトの秘密基地でオーバーホールを行っていたMusser vibraphone M55GJ が整備完了との報告。

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新宿から早速ミナトの秘密基地に直行、腕利きドクター“N”ことMr. Nishihara の診断結果を。

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整備完了のM55GJ

今回オーバーホールをお願いしたのは二点の問題に関するもの。

1つは以前このブログでリポートしている通り、国内メーカーがパーツを供給しているボディーの改良。
長年純正Musser M55を使っている身にすると、この日本国内専用モデルM55GJに装着されたペダルの位置に違和感があり、純正Musser M55と同じポジションとなるようにペダル・パーツを装着するサイドの脚のピンを手前に4cmほど移動させるというもの。

立ち位置が楽器に近すぎて演奏する姿勢に負担がかかっていた(特に軸足が疲れる)のと、鍵盤に近すぎてコードワークに若干支障が生じていた。

10月の横濱ジャズプロムナードなどのツアーの時は楽器に備わったアジャスターで鍵盤の高さを低くして身体から少しでも鍵盤を離すセッティングに変えてみたが、あまり効果はなかった。(特に足にかかる負担)

そこで11月のツアーの前に緊急処置をドクター“N”にお願いして「仮の装着ピン」を付けてもらった。

そのおかげでツアー中も劇的に演奏姿勢への負担が軽減、いや、ペダルに起因する負荷は微塵も無くなり本来の姿勢で演奏出来るようになった。

ところが、応急措置として従来のピンよりも一回り小さなピンを装着したのでツアー中に何度かネジが緩んで耐久性に関しては交換の必要性が生じていた。
そこで今回は従来から装着されていたオリジナルのピンと応急措置に使ったピンを入れ替えて耐久性と信頼性を取り戻した。

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脚の下段に白く見えるのが今回入れ替えた応急措置用のピン。改良した位置はオリジナルの黒いピンに。これで耐久性が一気に回復した


さて、これだけの事なら1時間もあれば済んでしまう作業だ。
それがなぜ一週間以上もかかったのか・・・・

実は、このニューモデル(この楽器は試作品なので若干量産タイプとは仕様が異なる)を導入して約一年半、従来の純正Musser M55が抱えていた問題(演奏中の楽器の揺れ、ノイズ等)をほぼ完璧にクリアーした素晴らしいボディーだったのだが、ちょうどオールシーズンを経たこの夏頃から、ある特定の音域にこれまでとは違うノイズが聞こえるようになったのだ。

それが常にではなく、時と場合によって、だ。

そこで、自分で考えられるノイズの出そうな箇所を徹底的にチェックしていろんな措置を施してみたのだけど、どうにも完全な特効薬にはならなかった。

新しい楽器、新しいモデルというのは、何のデータの蓄積もないので使用頻度が上がるに連れ思いもよらないところから問題が発生して来るもので、別に故障などではない。
特にプロトタイプは耐久試験を行っているようなもので、演奏する回数、分解運搬の頻度、使用環境によって予想しない問題が出て来るものなのでそれを承知済みで使っている。

今回出た症状は“D”の音盤をヒットすると、何処かで音が“炸裂”したようなノイズが発生し始めた、というものだ。

この世界も長いので、この楽器に起因するノイズは星の数ほど体験して来た。
しかし、今回のノイズはこれまでに経験の無いタイプのノイズだった。

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この点を楽器を預ける時にドクター“N”の目前で確認してもらい、僕なりの所見も述べさせてもらった上で全ての可能性を一つ一つ虱潰しにあたってもらったのだ。

疑うべきは、共鳴管(パイプ)・・・

パイプは増幅用の筒が音盤の数だけ連なり、それを一つ一つ固定するビスなど接触要因となる部位が最も多い。
また、僕はヴィブラートを使わないので筒の中にあるプロペラが演奏中勝手に回らないように固定する通常には無い改良箇所もある。完全に動かないようにするのではなく、音色・響きの調整にプロペラを使うので任意の位置でホールド出来るようにする、という特殊なものだ。ドクター“N”が考えてくれた。

ビス、リベット、プロペラの回転軸、これらは温度の変化による金属の膨張・収縮の影響も受けやすい。

気長にこれらを一つ一つ時間をわけて整備してもらい、この部分に関するノイズは除去できた。

これで完璧、と思いきや、再び時間が経過すると、ノイズが出て来たらしい。

そこで今度はボディー各部のネジやビスといった金具を全て調整し、これらを起因としていたノイズは除去できた。

唯一ボディーパーツでノイズを発生していた箇所がわかった。

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鍵盤を載せるフレームを固定するヒンジ。
演奏中や移動中にフレームへの圧や振動をセーブするためのパーツ。
ちょうどペダルのスプリングなども近くにあり何かと負荷のかかりやすい箇所なのだ。

しかし、純正Musser M55ではこのパーツは固定されているのに、国産供用のパーツは脱着式になっている。

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脱着式のヒンジ。便利だが接点が増えるのでこれはノイズの原因となっていた

この部分から出るノイズがあり、これは取り外すかフレームに架けない状態で使えば問題ない事が確認できたのでいつも外した状態で使う事にする。

今度こそ完璧、と思ったら、また時間経過によってノイズが出て来たらしい。

そうなると鍵盤本体?

鍵盤を外して装着用のホール(穴)を一つ一つ点検。
すると若干細かいホコリがつまったりしていたらしい。それを除去して、もう、これで完璧、そう思ったらしい。

しかし、整備した時は「完璧」なのに時間経過で再びノイズが聞こえる時が出て来たらしい。

そこで、これは鍵盤自体から何か異音が発生しているのではないかという事になり、秘密基地の楽器構造のバーチオーゾ、スーパードクター“大N”ことMr.Numata氏の協力の元、音響学に基づいて鍵盤の倍音のチェック、共振要因を徹底的に洗い出したそうだ。

この音板のこの部分をミュートしてチェックすると・・・・、という特殊なミュートをかけて誠に気の遠くなるようなチェックを行っていただいた。

楽器本体による共振は管楽器でも起こるそうで、スーパードクター“大N”はこの道のバーチオーゾなのだ。

全てをチェックし問題となる箇所は出なかったそうだ。

しかし、最初問題のあった“D”の音板のノイズが除去された時には、他の鍵盤に小さなノイズが発生していたり、どうもノイズの発生源が移動するような不思議な症状も見えて来たらしい。

本命の“D”音のノイズが大きかったから「それ以外」が気になっていなかったのかもしれない。

ううん。。。。

そこで、最後に、着目したのは・・・・・


紐?

バーサスペンションコード。
鍵盤を結ぶ紐だ。

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実はこの紐は純正ではない。
純正の紐は表面がツルツルして硬くノイズが出るので取り替えているのだ。

いろんな紐を試した結果、直径3mmのアクリル100%の紐が一番鍵盤に負荷が掛からず鳴りが良くなる事がわかった。

新しい楽器の場合、最初は鍵盤が鳴らないもので、ある程度「鳴らし込み」の期間が必要で、この楽器の場合ちょうど今がその「鳴らし込み」の最終段階で、着実に鍵盤の鳴りが良くなっている最中。

ドクター“N”とスーパードクター“大N”は最後の砦として、この紐を純正のものに交換してみた。

すると・・・・

ナント、

ノイズが消えたのだ!

え〜ッ!?

ノイズが嫌でわざわざ柔らかいアクリルの紐に取り替えているのに、それが逆効果だって!?
にわかに信じられない答えだった。

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タネを明かすと、紐の性質と言うよりも、紐を通す為に空けた穴との関係が大きいらしい。

鍵盤を鳴らす為に鍵盤との接触を極力押さえる為に、純正の紐よりも少し細めの紐を使っていた。
するとこの穴との間には隙間が出来るから鍵盤に圧を加える要因が減り、鍵盤が振動を記憶して鳴りだす、というのが僕の論理だ。

しかし、どうやらホールと紐の隙間が微妙に関係するらしく、導入時と比べれば1.3倍くらい鳴り始めた鍵盤は振動も大きくなったわけで、穴の中で振動する空気との間に(原因はまだ解明されていないが)起こる連鎖によって“炸裂”するような音を発生させているようだ、、というもの。

驚きです!

まぁ、関係ないとは思うけど、昔新幹線が開通した頃、トンネルのそばに住む人が夜な夜なドーンという炸裂音を耳にして驚いたという話しがある。それまでに前例のない高速で通過する新幹線がトンネル内の空気を押しやって発生させていたらしい。狭いホールの中で起こる空気振動は思わぬ出来事を引き起こすようだ。

そこで、現時点では全てのノイズ要因を二人掛かりで整備していただいたのでノイズが発生していないものの、これが再び発生しない保証は無いので、この穴の中の空気の状態(つまり振動)を変えて使ってみる、というもの。

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緑が純正、オレンジがこれまで使った3mm径、スカイプルーがこれから使う5mm径

昨日は時間がいっぱいいっぱいでそこまで手が伸びなかった(但しまったく気になるノイズは出ていなかったが)ので今日の午後のレッスン後に作業。

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バー・サスペンションコードを3mm径から5mm径へと交換。

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まずは現状確認の為に、ちょうど帰って来た家人をつかまえてモニタリング。

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同じ部屋にある二台のMusser vibraphone を弾き比べ。
まずは今回オーバーホールしたM55GJ。
家人が弾いた感想、それをこちらで聴いた感触を記憶して・・・・

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純正のMusser M55を。
家人の感触も僕の感触も一致していて、こちらはクリアーなのに音が豊か。
名器の貫禄充分だ。

しかし、以前試奏した記憶のある家人も驚くほど新しいM55GJが鳴る楽器へと変身しているようだ。
着実に“鳴らし込み”は成功中・・・・

で、その鍵盤が鳴れば鳴るほどノイズの要因になっていたとは・・・・・
ホント、生楽器は時間を掛けてつき合わないとわからないから面白い。

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左5mm径、右3mm径

例によって紐の先端にセロテープでリーダーを作り・・・・

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鍵盤一つ一つに通して行く・・・・

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最後は恒例の“片留め”。もう一方は結び目を作ってスプリングの中、こちらはいつでも解けるようにスプリングに結び付ける。

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さぁ、張り替え完了。

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再び家人を呼んでモニタリング。

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家人が弾いて特に違和感なし、との事。
僕も若干倍音が減った気はするが大きな変化には至っていない。
紐も使ううちに鍵盤に馴染んで来るでしょう。

では、ここで本職が登場!!

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はい。整備完了です。

うん、ノイズは出ないな。

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問題の音域は念入りに・・・・

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ダイナミクスに耐えられるかもチェック。

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これでよ〜し! 完璧だぜ〜!

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気が付くと、すっかり暗くなっていました。
オーバーホール完了です。




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25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
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Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

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