2013/7/25

いつの時代でも独自のサウンド美学で輝いているギターリスト  木曜:Jazz & Classic Library


個性的なミュージシャンは最高の自分を自分一人で造り上げる事ができる。

ギターリスト、ラルフ・タウナーを見ているといつもそう思う。
もちろん彼は“OREGON”という素晴らしいバンドを長年に渡って続けているし、ヴィブラフォンのゲイリー・バートンとの究極のデュオを何度も行っているのは承知の上だ。

近年では、コンスタントにギターのソロ作品集をリリースするし、その孤高の音楽の成熟振りはますます冴え渡っていると思う。

長年に渡って聴き続けているラルフ・タウナーのアルバムの中でベストを一つ、と言われると何を選ぶだろう?

僕は迷わずにコレを引っ張り出してくるな。


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『DIARY/Ralph Towner』(ecm/1974年)

1. Dark Spirit
2. Entry In A Diary
3. Images Unseen
4. Icarus
5. Mon Enfant
6. Ogden Road
7. Erg
8. The Silence Of A Candle

Ralph Towner(12-string and classical guitar, piano, gongs)

rec:Apr/4 & 5/1973

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ラルフ・タウナーというミュージシャンは「生」を先に見て、「音」を後で聞いた数少ないミュージシャンの一人。
もちろん、有名処のサイドメンとして来日して「生」を先に見ているミュージシャンはたくさんいるけれど、印象に強く残るサイドメンはそんなに記憶がない。
他にはスタン・ゲッツのバンドで来日した時のピアニスト、リッチー・バイラックくらいのもの。どちらも高校時代の経験だ。

1974年5月31日大阪サンケイホールで行われたヴィブラフォンのゲイリー・バートン来日公演はミック・グッドリック(g)スティーヴ・スワロウ(b)テッド・サイブス(ds)によるゲイリー・バートン・クァルテットに新人のギターリスト、ラルフ・タウナーが加わって三部構成の豪華なコンサートだった。

コンサートのチケットと共に高校音楽科の寮に届いたインフォメーションには、ゲイリー・バートンの最新作のチラシに加えて新人ギタリスト、ラルフ・タウナー・デビューというチラシが入っていた。

ウェーザーリポートのナントカというアルバムに参加!とサブタイにあったのだけど、肝心のそのアルバムを知らない田舎の音高生にはチンプンカンプン。
まぁ、ゲイリー・バートンが連れて来るのだから間違いないだろう、、、と、そんなつもりで会場に足を運んだ。

小学校の頃からレコードやテレビではすっかり馴染んでいたものの、この時が初の「生」のゲイリー・バートンと言う事もあって、気持ちはすっかりゲイリー・バートンのマレットさばきだったのだけど、二部が始まってさっきまでのバンドとは打って変わってラルフ・タウナーと二人だけで出て来て始めたデュオの世界は、それまでの逸るような気持ちを一瞬で解放してくれるような忘れられない感動の世界だった。

それは本当に目の前の出来事の時間が止まったような静寂に包まれた世界。

それまでに体験していた歴代ジャズメンの来日コンサート(スタン・ゲッツ、マイルス・デイビス、ウェザーリポートなど)では味わえなかった世界がそこにはあった。

二部の後半は再びバンドが加わり全員による演奏で賑やかだったが、この日はその真ん中にポツンと空いた静寂の時間がいつまで経っても頭から離れなかった。

当然ながらその日は会場のロビーで売っていたラルフ・タウナーのデビューアルバムを記念に買って帰った。もっとも、ゲイリー・バートンのアルバムは既に購入済みだった事もあるが・・・

大阪サンケイホールから福知山線の終電、さらには山陰線の夜行と乗継いで鳥取から始発の因美線を経由して翌朝の始業時間ギリギリに高校に到着した時に持って帰った記念のレコード。
それがこのアルバム、『DIARY』だった。

いきなりタウナー・モード全開の1曲目“Dark Spirit”。
最初のコードB/C、それに続くE/C。さらに追い打ちを掛けるようなC#/E・・・・
もうこの部分だけでも音高生はノックアウトだった。こんなに刺激的な世界がジャズにもあるんだ〜。
この時すでにチック・コリアとゲイリー・バートンのデュオはリリースされており、キース・ジャレットもソロコンサートで吠えまくり翌年のケルンコンサート目がけて突進中。
前年来日公演を見たマイルス・デイビスの電化バンドといい、このラルフ・タウナーといい、こんなに次から次へと新しい音の世界が生まれて来るジャズの世界が面白くて仕方がないという、そんな時代の正にドストライクな音だ。

この時代のジャズを聞けば、ロックも、クラシックも、ポップスも、ファンクも、そして民族音楽へも、どんなジャンルの音楽にも通ずる時代の写し鏡、まさに成長期。そんな時代だった。

後にラルフ・タウナー自身12弦ギターは好きでは無かったと語っていたが、この頃は彼のトレードマークと言ってもいいほどの世界観を出していた12弦ギターによるソロの“Entry In A Diary”。
短いがとても印象的な演奏。彼が紡ぎだすアッパーストラクチャートライアードの源流を見る思いがする。

音楽はハプニングとスリル。ゴングで始まる怪しい雰囲気は“Images Unseen”。ゴングの余韻とギターがスペーシーに絡み合い、やがて到達する恍惚と臨界の世界。まるで前衛バレエを観るような衝動を感じるハイテンション。寮で隣り部屋だった同級生のN森(現・日フィルのファゴット奏者)もお気に入りで彼の脳裏にも僕と同じ印象があったようで、ある日これを聞いていたら突然僕の部屋に前衛バレエダンサーよろしく乱入乱舞した事がある(笑)

ホッとするような(と言っても他のアーチストと比べるとまだまだハイテンションなのだけど)12弦ギターのイントロから導かれるロマンチックな“Icarus”は先のゲイリー・バートンのコンサートの時にデュオで演奏していたのが忘れられない(ゲイリー・バートンの来日公演翌月に録音された二人のデュオ・アルバム“MATCH BOOK”に収録)。このアルバムを代表する曲。ピアノによるソロがホット。

“Mon Enfant”はトラディショナル・ソングをヒントにまとめたものらしい。クラシックギターによるソロで、タウナーの音楽観がよく現れた演奏でギターの愁いを帯びた音色が心に滲みる。

コンテンポラリー・タッチなイントロで始まる“Ogden Road”は再び自身のピアノがギターに加わる。この頃のチック・コリアと似たサウンドが展開される。ピアノに続いて登場するギターソロはAのオープン。開放弦の迫力に満ちたソロへと繋がる様が見事。ちょっぴりチック・コリア風にピアノが絡みテーマへと戻る。

ギターをパーカッシヴに追及するかの如くエネルギッシュでリズミックな“Erg”。弾くだけでなく、はじく、叩く、ギターから発するありとあらゆる音を駆使して表現したサンバと言ってよいだろう。

最後はピアノソロによる“The Silence Of A Candle”。
ギターリストの弾くピアノはピアニストの弾くピアノと違ってギターのように響く。
それがまたタウナーらしいロマンチシズムへと結びついているような気がする。

いつの時代でも独自のサウンド美学で輝いているラルフ・タウナーの世界。
その輝きは最初のアルバムからしてすでに全開だったのです。
今、再び、それを再認識。

余談ながら・・・・

僕のはCDになって初期のバージョン(アメリカ時代に買ったまだAAD表示のある盤)なのでやや音がギスギスしているのだけど(最近のCDは無音状態が綺麗。昔の盤はややギザギサしている)面白い事に気付いた。
鉄壁を誇っていた70年代のECM録音ながら、一番音量的に源音が小さかったと思われる5曲目“Mon Enfant”の4分50
秒辺りにどうやらスタジオの近くを排気量の大きな車が通ったようで、しっかりとそのノイズが記録されている。レコードでは全然気付かなかったよ。






★☆★ 2012 BEST LIVE (動画) ★☆★

Nov/14〜15/2012

Toshihiro Akamatsu (vibraphone)
Hakuei Kim (piano)

1st set (9:30pm〜10:50pm)

1.Winter Festival---by Hakuei Kim
2.The Gleaner-----by Toshihiro Akamatsu
3.Stella by Starlight
4.White Forest-----by Hakuei Kim
5.Nagi Moca suite---by Toshihiro Akamatsu
6.Newtown--------by Hakuei Kim
7.Silent Butler-----by Toshihiro Akamatsu
8.(encore)O Grande Amor

2nd set (0:48am〜2:09am)

1.Winter Festival---by Hakuei Kim
2.The Gleaner-----by Toshihiro Akamatsu
3.Stella by Starlight
4.White Forest-----by Hakuei Kim
5.Nagi Moca suite---by Toshihiro Akamatsu
6.Newtown--------by Hakuei Kim
7.Silent Butler-----by Toshihiro Akamatsu
8.(encore)On Green Dolphin St

Rec, Nov/14〜15/2012 @ Okaido"COLORFUL", Matsuyama, Ehime, JP

※赤文字の演奏動画を公開しています

ビデオカメラビデオカメラ【Crew Camera Series】■赤松敏弘 vibraphone Best Live 2012/Akamatsu meets Hakuei Duo/Nov/15/1:00am's StellabyStarlight (Full version)

ハクエイ・キム(p)赤松敏弘(vib)

2012年11月14日四国・松山でのライブ第二部のもので第一部と同じ曲の深夜の演奏です。
まったく違うイントロから始まった瞬間から純粋な即興演奏に突入しました。
デュオという最小公約数にして最大の自由度を持つアンサンブルでしか出来ない衝動の記録となりました。
ソフトのアップロード時間制限の為に10分未満の暫定バージョンを年末にアップしていましたが今回フルバージョンに更新。


ビデオカメラビデオカメラ【Crew Camera Series】■赤松敏弘 vibraphone Best Live 2012/Akamatsu meets Hakuei Duo/Nov/15/2:00am's GreenDolphin

ハクエイ・キム(p)赤松敏弘(vib)

あらゆる意味で刺激的だったこの日のライブの最終アンコール。時刻は午前2時です。
第二部の会場は半分以上が地元のミュージシャンやピアニスト、音楽関係者で埋まっていましたから二人ともよりアグレッシヴなOn Green Dolphin Stに。午前二時にこんなガチンコなライブをやる街は日本でも珍しいでしょう。さすがは我が故郷です(笑)


ビデオカメラビデオカメラ【Crew Camera Series】■赤松敏弘 vibraphone Best Live 2012/Akamatsu meets Hakuei Duo/Nov/14/9:53pm's StellabyStarlight

ハクエイ・キム(p)赤松敏弘(vib)

赤松・ハクエイDUOでのStella by Starlight。
このバージョンは2012年11月14日四国・松山でのライブ第一部のものです。
前月の横浜ジャズプロムナード2012でも評判だったこのスタイルのデュオがさらに一歩踏み込んだところでの演奏に。次の深夜のステージの演奏と比較するとまったく別の曲です。ジャズライブの楽しみ方で僕らはとても大きな事にこの時気付いたのでした。


ビデオカメラビデオカメラ【Crew Camera Series】■赤松敏弘 vibraphone Best Live 2012/Akamatsu meets Hakuei Duo/Nov/14/9:46pm's The Gleaner

ハクエイ・キム(p)赤松敏弘(vib)

四国・松山でのライブ第一部でのオリジナル曲The Gleaner。この日は入替え制という事もあり第一部も第二部も同じプログラム(アンコールを除く)でしたが、考えてみればクラシックのコンサートやポップスのコンサートとジャズのコンサートが大きく異なるのは、たとえ同じ曲を一日に二度演奏したとしてもまったく違う演奏になるのが当たり前。このライブではその当たり前な事を随分長い間僕らは忘れていた事に気づかされて、久しぶりに達成感で満たされたのを覚えています。


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ビデオカメラ【Crew Camera Series】TOSHIHIRO AKAMATSU meets HAKUEI KIM 2012. presented by T.KOYAMA. "SOUND OF FOCUS" comp by T.Akamatsu. 2010's album 『AXIS』(VEGA)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦、ユキ・アリマサTWIN DUO × TRIO オープニング"Be my love"




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦 DUO 2011 演奏順/2曲目"TRITON 2011" comp by T.Akamatsu. 1991's album 『Now's The Time Workshop vol-2』(BMG FunHouse)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦 DUO 2011 演奏順/4曲目"I LET A SONG"




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、ユキ・アリマサDUO 2011 演奏順/7曲目"DAA HOUD". 2005's album 『Synergy』(VEGA)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦、ユキ・アリマサTWIN DUO × TRIO 演奏順/9曲目 アンコール




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『BEST LIVE 2011(動画)』


2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




ガンバレ東北!

がんばろうニッポン!




只今絶賛発売中!
■New Album『AXIS/赤松敏弘』(VEGA)
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VGDBRZ-0044/3.000円(税込)

赤松敏弘(vib)The NewQuartet
guest:森川奈菜美(vo)

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どうぞご利用ください。

CDレビュー→http://www.jazzpage.net/rireki/cd/akamatsu_axis.html

CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

CDレビュー→http://artist.cdjournal.com/d/axis/4110091003

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