2007/5/4


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。金曜第四十九回目の今日はヴィブラフォンとマリンバのマイキングのお話しです。

レギュラー更新と進行中のProduce Noteが混在しますがどうか御容赦を。

Miking(マイキング)とはスタジオなどで録音する時のマイクのセッティングの事ですが、アコースティックの楽器はそれぞれの特性があって興味深いものです。
ヴィブラフォンやマリンバのマイキングに関しては専門のサイトでもあまり扱われてないので参考にして下さい。
特にマリンバは大半がホール録音(風も含む)で、実際にその響きが良いのかどうかは大いに疑問を感じる(ホールの残響というものが最高の音響と言う根拠は音楽的にどこにも無い)ので、みんながいろんな場所で自分の楽器の音を再検証してみてほしいのです。特に打楽器系はホールの残響で良い気分になった事がありません。

ヴィブラフォンはスタジオのエンジニア泣かせの楽器と言われます。僕はビブラートの元になるファンを使わないのでまだマシとされますが、ファンを回されると音程も振動も音圧も常に不安定で初心者のエンジニアでは正確に録音するのは無理とされます。そういう場合エンジニアは保険としてリミッター(音の躍動を均一に保つ装置)を使って対処します。が、妙に機械的に音を加工するので本来の生楽器の持つ起伏とは別の艶かしい音になってしまいます。ミュージシャンによってはこの音が好きだという人もいるようですが、僕は何となく嘘っぽいので嫌いです。

さて、今回のレコーディングでは今までに使わなかったタイプのマイクを使いました。通常コンデンサー式のマイクで録音していたのですが、エンジニアの花島くんが録音前の打ち合わせでいつものコンデンサー式マイクにダイナミック・マイクを組み合わせてみよう、と発案したのです。
僕はダイナミック・マイクはライブハウスやPAで使う、少し粗いが音量が稼げるマイクという認識しかなく、その利点は録音が始まってから、という事に。

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いつも愛用?のブースで @クレッセントスタジオ・東京

マイクスタンドを見れば4本のマイクがセットされているのがわかると思います。
ヴィブラフォンは鍵盤の下にある共鳴管(パイプ)を使って音を増幅しているので鍵盤の頭上に音が放出される為マイクはこのようにセットされています。
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このスタジオのこのブースがお気に入りなのは部屋の中に伝わる空気振動が安定していてヘッドフォンをしていても身体で十分音圧を感じるからなのです。空気振動の不安定な場所の場合は、パイプに付いているプロペラ(ファン)の開閉角度を自分に一番音圧が感じられるように調整します。この部屋はその心配がまったく無いのでプロペラは全開です。ビブラートを使わないのにプロペラ付きのパイプを持っているのはその為なのですね。

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コンデンサー式のマイク(ノイマン/右)に細いリボンマイク(ダイナミック式)が一対の合計2組

さて、リボンマイクですが、アタックの鋭い演奏をすると極めて効果的です。反応が早いというのはこう言う事だったのですね。繊細な音はコンデンサーマイク、瞬発力はダイナミックマイク、それぞれの特性が生かされた録音になりました。

マリンバはヴィブラフォン以上にエンジニア泣かせですが、スタジオでは出動の機会がヴィブラフォンよりも少ない為にまだまだ未知の楽器です。
第一に常用音域がこの数十年で広がった例外的な楽器でもある為に楽器としてのポイント(役割り)が曖昧になってしまったという事も録音の難しさに繋がっているでしょう。ピアノと同じような音域があるものの、ピアノほど完成された楽器ではないので音域毎に「別の楽器」が寄せ集められた感じなのです。それはエンジニアに限らず一般的な楽器の捉え方としても言える事です。
僕個人としてはマリンバは中音域の楽器としてアンサンブル(バンド)の中で主張出来ると思っていますからそこにウエイトを置きます。

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前回マリンバをブースに入れたらこの楽器のとんでもない素性があからさまになりました。音の出る位置だけでなく、本当に3分割されてしまうのです(高音域の楽器+中音域の楽器+低音域の楽器)。多少失礼な言い方をすれば「無理やり」音程を作っているのがバレてしまったのです。一つの楽器としてまとめるのはとても無理と判断して広いメインブースに楽器を出す事で何とかまとまりましたが、今回はどうでしょうか。

前回の『SYNERGY』の時のマイキングはマリンバの松島さんのHPのルポにあるので参照して下さい。

まずマイクはノイマンともう一つ別のマイクを組み合わせた4本でその内の低音側のマイクは中音側にホルダーを付けて音の干渉を防いでいます。楽器が数種類に分割出来るならマイクも数種類で対応する、という花島エンジニアの作戦のようです。

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この作戦は見事に前回の問題点を克服しました。花島くんも数日前から胃がキリキリしていたようですが(笑)、今回はマリンバを見事に録り切ったようです。
マリンバは本当に難しい楽器です。演奏者がマレットを複数組合すようにマイクも帯域によって変えるという事が結論です。

録音すると自分の楽器の事が演奏する以上にわかります。
多くのマリンバ奏者のみなさんがそうやって楽器の開拓をして、どんどん新しい世界を作ってほしいと思います。

おしまい



2007/5/16  2:59

投稿者:あかまつとしひろ

>花島殿
あ、この日付けと時間って事は・・・マスタリングの最中に書込み(笑)。
そうでしたか。ダイナミックと違うのですね。ううん、、コンデンサーで
も無くダイナミックでも無いとなると・・・詳しくは今度会った時に聞き
ます(笑)。ありがと!

2007/5/10  7:08

投稿者:まっつん

>花島さま
キャ!殿〜、プロフェッショナルの方からレスいただいちゃった!
そう言えば客席の上に何か吊り下げられていたような気がします。
ありがとうございます。ちょっとぉ、感激*¨*

2007/5/8  14:42

投稿者:花島

訂正
ちょっと訂正。
マイクにはコンデンサー式、ダイナミック式、リボン式とあります。
ダイナミック式のリボンマイクではありません。知らない方が勘違いす
るといけないので一応訂正です。
>>まっつんさん
ホールの場合おそらくですが、2本プラス天井からマイク吊ってると思
いますよ。私が録音するならそうします。

2007/5/5  7:10

投稿者:まっつん

マリンバの録音ってこうなってたんだね〜。知らなんだよ。一度ホールで録音するのを見たけど目立つマイクは2本ッキリだったし、他はどこにあるのかわからなかった。マリンバはヤマハのYM5100。あれ運びやすそうでいいなぁ、とヲモタよ。どうなんでしょ?


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