2007/7/26

ズバリ!Burt Bacharach  木曜:Jazz & Classic Library

若い時というのは、特に自分が興味を持たずとも、自然に聞こえてきたものはちゃんと自分の中に吸収しているもので、テレビやラジオというメディアに触れてすっかりファンになっているものがあるのですね。
しかし、同時に若い時というのは、最高にお馬鹿である為に、それらが一体何であったのかも知らずのうちに通り過ぎて、記憶ばかりが音としてたくさん残っていたりするのです。
その時にちゃんとそれが何であるかを知っておけばよいのですが、若い時というのは視野が狭いから仕方ないのかもしれませんね。

バート・バカラック(Burt Bacharach)はアメリカのポピュラー音楽を語る上では外せない重要な作曲家、アレンジャー、シンガーソングライター。
実は僕はとてもこの人の音楽が好きなのですね。
それはブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンに対する気持ちと同じように。

ジョビンはまだジャズ界隈でも知られる存在でしたが、バカラックとなるとジャズ界隈ではどちらかと言えば軽視される傾向もあって、当時お馬鹿な若者は「そんなもの、これからの自分のジャズエキスにとっては何でもないさ」と、またまたお馬鹿な風潮に沿って、一般的に見れば「よくわからん」と言われる音楽に没頭していたのです。

しかし、この世界で演奏の仕事をするようになって、時々バカラックの譜面を見掛けるようになってから「あれ? 何でこの曲知ってるんだ? タイトルも知らないのに・・」という不思議な親近感を持ってバカラックに触れるようになったのです。

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『Magic Moments“The Classic Songs of Burt Bacharach”』(BMG/1996年)

バカラックほどのヒットメーカーになると、バカラックの曲というよりも、その曲をヒットさせた歌手の印象のほうが大きく、こういうベスト・オブ〜という企画アルバムを買うと歌手とオケがヒットしていた組み合わせと異なるだけで、妙な違和感があって肩すかしを喰う事もあります。
例えばバカラック最大のヒット曲と言われる映画「明日に向かって撃て」の主題歌『雨にぬれても(Raindrops keep fallin' on my head)』は、僕らはラジオやテレビから100万回流れていたBJ・トーマスが歌いハーブ・アルパートのフリューゲルホーンが聞こえワンセットとなって記憶されているのに、このアルバムではペリー・コモがのんび〜りと歌っているしアルパートもフリューゲルも聞こえてこない。カーペンターズが歌ってヒットした『遥かなる影(They Love To Be - Close to you)』もカレンの伸びやかな歌声とまたまたハーブ・アルパートのフリューゲルホーンがワンセットとなっているのに再びペリー・コモがの〜んびりと歌うだけ。
まぁ、考えてみればレコード会社が違うから違うアーチストと違うアレンジになるのは当たり前なんだけど、それほどにヒットした曲の印象は歌手とオケがワンセットに記憶されるんですね。

じゃ、これが悪いか、と言えば、それがそうでもないから不思議。60%満足なんです(後の40%を音楽では先入観と言います)

それよりも、バカラック自身が昔のヒット曲をリメイクしたトラックがいくつか入っていて(恐らく90年代初期の録音と思われる)、例えばディウォンヌ・ワーウィックが60年代前半にヒットさせた『恋するハート(Anyone who had a heart)』や『Are You There』をモーリン・マクガヴァンがカバーしているトラックはオリジナルと聴き比べると、僕などはこちらの新しいバージョンのほうが洗練されていて好きだ。90年代のアメリカン・ミュージック、叉はスムースジャズとしてバカラックの曲が通用する事を証明している。

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『GREATEST HITS/Dionne Warwick』(Duchesse/1989年)
聴き比べたディオンヌ・ワーウィックが歌うバカラック曲集。録音は60年代前半のトラックを集めている。

さて、アルバムとして今夜は紹介しているのではなく、バカラックという音楽について書いているのだけど、なぜバカラックが素晴らしく感じるのでしょうね。

個人的に60年代のヒット曲の代表と思うのは『Promises,promises』。今日掲出したアルバム両方に収録されていますが、ポピュラーのヒットソングで恐らく変拍子が使われた珍しい例(ジャズではテイク・ファイブなどがあるが)で、この背景には当時のミュージカルの影響もあったと予測します(バーンステインのウエストサイド等)。
ちょっと調子っぱずれのメロディーを大胆に取り入れた曲(前出の「Are You There」の出だしなど)は明らかにボサノヴァの影響を受けてそれをバカラックなりに消化したと予測できます。
もっとボサノヴァの影響が強いのは『The Look Of Love』。映画「007カジノ・ロワイヤル」の挿入歌としてヒットしさらにセルジオ・メンデス&ブラジル'66がヒットさせたこの曲は勝ち気なアメリカン・リズムテイストが徐々に影を潜めシンプルなメロディーとサウンド(テンション)でムードを設定する以降のバカラック・スタイル(70年代の「雨にぬれても」など)を確立しています。

やがて70年に全米ヒットチャート第1位を飾るカーペンターズがリメイクした「遥かなる影(1963年の曲)」、以降70年代の爆発的なバカラック・ブームが日本にも到来し、僕は毎日のようにそれを「当たり前の音楽」として聞き流していたわけです。

流行りのリズムやビートに頼らず、ハーモニーとメロディーがそれぞれに主張してバランスが取れたバカラックの音楽は、時代が経っても古く感じさせないのです。

とても親近感のある音楽。
自分の何処かにそういう音楽が潜んでいて、それが今もどこかで自分を支えているような気がします。僕にとってはボサノヴァとバカラックとラヴェル。不思議な組合わせに見えるかもしれませんが、案外そうでもないのですよ。

おしまい



2007/7/27  14:44

投稿者:あかまつとしひろ

>takiさん、
情報ありがとうございます。それにしても詳しい方が
いるものですねぇ。感心を通り越して尊敬してしまい
ました。アルフィーはよくセッションなんかでヴォー
カルの人が歌ってましたねぇ。あ、タイトル、そう、
そうなんですよ。ペリー・コモのクレジットがおかし
いのかどうか、それても故意なのかわかりませんが
Loveなんですよ。。それとも・・ミスプリか(>.<)!

>文音さん、
S氏というのは「moog博士」かな? どこかに接点があ
る、という事はお互いに聴いてきたバックグランドに
共通するものがある場合が多いですね。僕のよく知っ
てるS氏なら、想像がつきます。

2007/7/27  0:06

投稿者:文音

最近ピアニストのSさんのBLOGに入り浸って(^_^)いるんですが ここで登場するミュージシャンの名前を時々チラホラ見かけるんです。
好きな音は 何所かに何か共通項が有るんですね。

2007/7/26  23:22

投稿者:taki

名前:taki
メールアドレス:
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コメント本文:
こんなサイトをみつけました。曲ごとにアーティストの一覧があったりします。よほどのファンなんでしょうね。
http://www.diana.dti.ne.jp/~u-suke/burt_bacharach/

私の中ではバカラックは曲によって「ポップ」に分類したり「ジャズでも可」に分類してたような気がします。多分、歌った人によるんだと思いますが。
アルフィーが好きでしたが、ジャズでも結構取り上げられていたように思います。
(重箱の隅つっつきですが、They long to be close to youですね。)


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