2006/5/1

自立する楽器、自立しない楽器  月曜:ちょっと舞台裏

先週の月曜日特集:ちょっと裏舞台“いざ出陣!楽器運搬の巻”で使用楽器のM-55に新旧タイプがある事を書きましたが、その違いとは何か?という問い合わせがありますので、今日は実例を挙げてみる事にします。

Vibraphoneの世界的なベストセラー、アメリカのMusser社には様々なタイプの楽器があります。詳しくは「Ludwig-Musserのホームページ」を御覧下さい。

主に移動を前提に作られているものではM-55とM-48という二つの機種に人気があり、これらと同じような仕様の国産Vibraphoneは、M-55タイプが「ヤマハ」「サイトウ」に、M-48タイプが「ヤマハ」にもあります。
これら標準的な楽器の音域はF-Fの3オクターブ。近年はFの下のCからの4オクターブ、叉は4.5オクターブの楽器もありますが、どれも倍音の処理がまだ満足出来ない感じにあるので当面はF-Fの3オクターブで十分でしょう。また音楽的にも殆どのヴァイビストがF-F以上の音域を設ける必要性を感じていません。

さて、このような状況の中で、なぜMusserの楽器が選ばれているかについて簡単に触れると、

(1)音板の響き(明るい、ダイナミックレンジのピークが広い等) 
(2)それぞれのパーツが軽量である(ボディーの重量は他社よりもかなり軽い)

に尽きます。

そんなMusser社のロングセラー商品となると、時期によって様々な仕様変更(車で言えばマイナーチェンジ)が施されており、ネットなどでもユーズド楽器のニーズも高いと思われます。

僕が使っているM-55モデルは、正確には「旧々式」と呼べるもので、「旧式」「新式」とはボディーの「梁」構造に違いがあります。

この改造が行われた背景には、楽器の「揺れ」という問題が生じた為で、ペダルが装着された楽器の宿命だとも言えます。元々軽量構造の楽器ですからペダルを踏む力によって楽器が前に滑らないようにキャスターにロックがかかる構造になっていますが、経年の振動や持ち運びの負荷などで、接合部に歪みが生じるわけです。
そこで「旧々式」から「旧式」に仕様変更された時に、楽器と脚を結ぶ「梁」を強化しました。

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M-55の「旧々式」タイプ。両脚には上段・下段と二つの横梁があります。鍵盤を載せるフレームと脚の上段の横梁の間を斜に「梁」が結んでいる。左側を見ると構造がわかりやすいでしょう。この「梁」は脚をたたむ時に真ん中から二つ折りとなって本体に格納される。

しかし、この「二つ折り型の梁」が金属製で接点にロック機能を持っているのでここからノイズが発生する事や、ステージ等を転がしての移動時に負荷が掛り「歪み」を生ずる事などから、「旧式」では脚の足元まで「梁」を延長し、構造も脚と同じ頑丈な材質に変りました。

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少し見辛いですが、脚の下段の横梁から斜に伸びる「梁」があるのがわかるでしょう。
これによってペダルを踏む力による楽器の「揺れ」やジョイント部の金属ノイズが解消されました。欠点としては、この「梁」が分解運搬の時に、どうにも「納まりのつかない」形になってしまう点です。演奏上問題無いので、このくらいは我慢

最近になると、この梁の構造が、新型機種のM-48に揃えられました。
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逆W形に「梁」が追加されたのがわかるでしょう。
いかにも頑丈そうです

さて、このようにどんどん改良されているにも関わらず、なぜ僕は2台とも「旧々式」を使っているか。。。。。

それはですねぇ、、、、

写真でお見せしましょう。

はい、楽器を運んできました(前回からの続きだと思って下さい)
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さぁて、では組み立てましょうか、ね

ほい
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立った〜

って、実はコレ、「旧々式」だけが出来る技なんです。
ボディーの脚を開くと自動的に「梁」がロックされて“自立”するんです
脚は直角の状態で「梁」のロックによって固定されます。(ロックが掛るとカチッという音がする)

これが「旧式」「新式」では横に寝かせたままペダルのパーツを装着するまで“自立出来ない”んですよ
しかも脚が90度以上開くので「梁」とペダルの装着(微調整)に手間がかかってしまう。
それと、場所によってはかなり狭いスペースでの組み立てを強いられる事もあるので、そうなると「旧々式」に優るものが無いんです。なんせ脚さえ引っ張り出せば“自立”しますから、はい。

先週「細部のパーツが異なる」と書いたのは、こういう事だったのです。
運搬往復3回・組み立て5分、「旧々式」のキャッチフレーズかも

ネットなどで中古購入する時は、この事も参考に検討を


おしまい



2006/5/3  4:20

投稿者:あかまつとしひろ

>まっつん
自立出来るマレットキーボーディスト!
頑張ってね。





2006/5/2  6:39

投稿者:まっつん

M55の旧式は知ってたけど、旧々式恐るべし!
自立できるとは、、、、ワラシも見習わんと(~へ~;

2006/5/2  2:12

投稿者:あかまつとしひろ

>YELLさん
ハハハ、大丈夫ですよ。だってマレットで叩いてる楽器
ですから多少肘をつく程度は。
PSE法、結局例外品目にアンティークものが追加される
などして結局楽器は対象除外となったようです。施行間
際になって騒ぐのもおかしいですが、みんなが気付かな
いくらい「曖昧」な表示もどうかと思います。






2006/5/1  18:30

投稿者:YELL

今日の記事を読んで思い出したのは、赤松さんが
Vibraphoneの鍵盤に肘をついている写真を観た時「あ
れっ? 大丈夫なのかな?」って思った事です。

中古と言えば 例のPSE法。
どうなっちゃったんでしょうねぇ?。


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