2007/8/30

別れの時に・・・Bill Evans(p)  木曜:Jazz & Classic Library

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アクセス解析を見ると、結構「コメント」そのままで送信されないままと思われるデータが増えてきたのでヨロシク。認証には24時間程度かかる場合もあります。(って僕が見れる時間が限られてるので)

本日のLibraryはコレ
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『I Will Say Goodbye/Bill Evans』(Fantasy/1977年)

数多いビル・エバンスのアルバムの中で、どちらかと言えば「控え目な評判」のこのアルバム。でも、一人のエバンス・ファンとしてとても愛着を持って聴いているんですね。

僕がビル・エバンスに触れたのはジャズを聴き始めた初期の頃。当時小学生だったのでジャズ雑誌を眺めながら「さて、どれを買おうか」と毎月の楽しみにしていたので、誌面でよく見掛けるネーミングから手を伸ばすという構図だった。それと共にジャズを聴く切っ掛けとなっていたハービー・マンがフルート奏者であった事から最初のビル・エバンスのリーダー・アルバムは当時新譜として紹介されていたフルート奏者ジェレミー・ステイグとの共演盤『What's New』(Verve/1969年)で、それが気に入ってすぐにトリオのライブ盤『At the Montreux Jazz Festival』(Verve/1968年)を買いにレコード屋に走った。

『What's New』のほうは輸入盤を買ってしまったのでさっぱりライナー情報が得られず、後で買った“お城のモントリュー”でエバンスのいろんな事がわかった。
すると、既に購入していたマイルス・デイビスの『Kind of Blue』(CBS/1959年)でピアノを弾いているピアニストであった事などがどんどん情報としてインプットされた。

ビル・エバンスと言うと長らく50年代から60年代半ばにかけてのRiverside Recordsの名作(Portrait in Jazz、Waltz for Debbyなど)ばかりにスポットが当り、僕のような「エバンス中途組」は悶々とした気持ちでいたのだけど、これだけ時間が経つとようやく平等な目で全体を見渡す人が増えたので一安心(笑)。

ビル・エバンスの魅力とはなんだろう。
自分がヴィブラフォン奏者としてもエバンスからの影響は大きい。
まだ、自分の楽器を持てなかった中学生の頃は毎日のように実家のピアノでビル・エバンスの伴奏の物真似をやった。メロディーなんか弾かなくてもエバンスの左手を真似するだけで“ワクワク”していた。

それだけではない。

ピアノ・トリオというフォーマットの中でエバンス・トリオほどベースとドラムが自由に演奏しているチームは無かった。ドラムが規則正しくハイハットを裏拍で踏まなければならないという規則性もないし、ベースがウォーキングベースに徹する必要もなかった。このスタイルを生み出したのがビル・エバンス・トリオだった。
つまり、ピアノは大半の事を表現しているから、それに合う「空間」をリズムセクションが担うというアンサンブル・スタイル。必要なければ弾かなければいいし、必要ならばメロディーにだって絡み付く。
今日、ピアノ・トリオの大半が演奏しているスタイルを作り上げたのがビル・エバンスだったという事。
雑誌などで触れられるビル・エバンスについての記述では、この点に触れられる事が少ないのは昔から意外だ。
ミュージシャンはそれを知っているから、どんどんそのスタイルを取り込んで自分の演奏スタイルを確立させた。チック・コリアしかり、キース・ジャレットしかり。
だからエバンスの影響はピアノ・スタイルに固着せず、僕のようなヴィブラフォンやギター、管楽器など、様々な楽器にまで幅広く及んでいる。

師匠のゲイリー・バートン氏もまったく同じでピアノを弾くとビル・エバンスそっくりなんだ。

そうさせる要因は、エバンスの左手にあると思う。リズム、ハーモニー、タイミング、それらが共演者に自由なスペースを与え、そして同時にゾクゾクするような時間とサウンドを作って行く。

このアルバムは大好きなスティーヴ・スワロウの曲(Peau Douce)が入っているので買ったのだけど、実は先にワーナーに移籍後の『Affinity』(1978年)を買ってエバンスを再発見した気持ちで手を伸ばした。

1980年9月。

僕は東京に出てきたばかりの頃で毎晩演奏をしていての帰り道。
カーラジオから突然信じられないようなニュースが流れた。

「米国のジャズ・ピアニスト、ビル・エバンスさんが昨夜お亡くなりになりました。享年51歳でした。」

目の前が真っ暗になるとか、衝動で記憶がなくなるとか、そういうんじゃなく、とても冷静に、でもそれまでに味わった事のない気持ちのまま家まで車を走らせた。

そしてこのアルバムをかけた。

最初の“I Will Say Goodbye”

泣けた。

それからしばらくの間、ピアノの前に座ってもまったく弾く気になれなかった。

おしまい




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