2008/1/31

L'eteな人・・・・Clementine(vo)  木曜:Jazz & Classic Library

1989年の夏、バークリーを卒業して帰国した時だった。
バブルの真只中に3年間いないと周りは変化だらけ。この夏は渋谷や青山などに日参していろんな業界人を紹介してもらいつつ様々な情報を仕入れていた。

「赤松さん、ボサノヴァ好きでしたよね」
「うん」
「いいと思うんですよ、ボサノヴァ」
「ほう〜。じゃジョビンとか」

帰国直後、いろんなレコード会社の人と話しをする中(もちろん自分のアルバムを出してくれる会社を探しての事)でのひとコマ。

「いえ、ブラジルじゃなくてフレンチの」

はて? ボサノヴァにフレンチなんてあったかなぁ? と内心疑問符。

そう言えば、その頃しばらく居候させてもらっていた目黒のスタジオ(ヨシダさんち)でも「フレンチ・ボッサ」という言葉を何度も耳にしていた。ハテ? 一体なんだろう?
バブルの好景気で沸く日本はアメリカよりも変化のスピードが早かった。
だから渡米する時に1ドル280円だったのが帰国したら1ドル98円になっている変化にしばらくはついて行けなかった。あまりにも急激なスピードで日本が変貌していた時だった。

そうこうする内に大橋にあったポリドール・レコードから話しが来てアルバム『アンファンIII』が決まり担当のプロデューサーと顔合わせに。

ポリドールのMさんから紹介された細身に長髪にベレー帽の若い男、彼こそが渋谷系音楽の仕掛人の一人Yasushi Ideだった。それから暫くの間、僕は彼と一緒に行動して日本の業界の「学習」をする事になる。
1年後『アンファンIII』がポリドールからリリースされる前後、彼と放送局や雑誌の取材で歩き回っていた時に突然彼から「赤松さんさぁ、ボサノヴァとかどうです?」と出てきた。
「ボサノヴァってもフレンチなんすけどね」。

当時(90年)彼の手掛けていたオリジナル・ラブのデビューが秒読みに入った中でのフレンチ・ボッサ。ファラオ・サンダースなんかも手掛け始めていて、細身の彼のどこにこのパワーがあるのか不思議だった。

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『a suivre/CLEMONTINE』(sony/1996年)

その後テレビのコマーシャルなどで頻繁に流れるハスキーなヴォイス、これがYasushi Ideが手掛けたクレモンティーヌと知るには時間は掛からなかった。
ゴンチチが伴奏する「L'ete」という曲は誰でも知っているだろう。

果たしてクレモンティーヌが本国でどれだけ注目されていたのかは不明だけど、確実に日本でヒットを飛ばしてから本国に飛び火したのはよく知られた事。フレンチ・ボッサという一つのジャンルまで作り上げてしまった。

クレモンティーヌが日本でウケるのは一度聞けば当たり前だと思うほど日本人の好みとフランスのイメージ(日本人の描く)が合致している。
お洒落でアンニュイな感じ。
バブルの好景気の空気とも見事に一致していた。

歌手クレモンティーヌは単的に言えばフランス版アストラッド・ジルベルト。

今、このベスト盤を聞き返してみると、当時(バブル時代)の空気を蘇らせてくれるようだ。
そういう中で流れていた音楽で僕は一番好きなものかもしれない。
個人的にも井出靖という若きプロデューサーと出会った事もあるが、彼が当時描いていた事が何だったのかを、このクレモンティーヌを聞くと当時よりもわかるような気がする。

この音の向こうにあるバブルの残像。

そんなリアルな時代感を持ったアルバムは滅多にないと思う。
元気が無く低迷している日本だからこそ、今、このアルバムの価値が光り輝いている、と言うとちょっと大袈裟かな。

やはり有能なプロデューサーが時代を感じながら音楽をリードしないとダメだなぁ、と、つくづく思わせてくれるアルバム。お薦め。
ヘッポコプロデューサーの人、勉強しなさい!(笑)

井出靖HP

おしまい



2008/2/4  2:40

投稿者:あかまつとしひろ

僕は89年7月に帰国しましたから最初はバブ
ルの意味がわかりませんでした。
でもライブに来るOLさん達が「財テク」「ワ
ンレンボディコン」という謎の言葉を放って
いたので徐々にわかったような・・・(笑)

みんな「こんな事は今にハジケる、ハジケ
る」と言いながら儚く散って行った時代でし
たね。でも何処かに哀愁があった時代で僕も
嫌いではありませんでした。

2008/2/1  0:01

投稿者:文音

ワオ!  此処でもオリジナルラブの名前を目にするとは…  驚きー

バブル時代を感じる曲には 何とも言えない何かを感じるんです。
ロマン 余裕 勢い イイ意味でのムダ 
今のJ-POPには無くなってしまったモノばかりを…


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