2008/5/29

隙間に見えるもの・・・Miles Davis & Marcus Miller  木曜:Jazz & Classic Library

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赤松敏弘MySpace只今世界的に拡大中!

さて、本日のLibraryは・・・・

サウンド・トラックと言うとココで取り上げるのには抵抗がある人もいるでしょう。
でも、これはタダのサウンド・トラックじゃないんです。

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『SIESTA/Miles Davis & Marcus Miller』(warner bros/1987年)

映画“シエスタ”のサウンド・トラック。
しかし、クレジットの通り、ここで音楽を演ずるのは言わずと知れたジャズ界の帝王・マイルス・デイビス。そして事実上このサウンド・トラックの采配をしたマーカス・ミラー。

昔のミュージカルと違って近年の映画音楽はシーン展開に合わせて断片的な音楽が多い。ある意味でコマ切れ的、イメージとインパクト優先。つまり音効化しているんですね。
それはあくまでもスクリーンに写し出される「画」が主役であるから仕方ないのですが、中には「画」を見なくともシーンを連想させてくれるような優れた作品もあります。

これはボストン時代に映画を見る前に買ったCDなんですが、最初に音楽だけでどんな性質のストーリーなのか、どんな色調で写された映画なのか、そんな事を勝手に想像してから映画を見る、という経験をしたのですね。
しかも映画は10年以上経ってから・・・という。

元々、ジャズはインスト(ヴォーカルを除けば)としての面白さを追求した音楽ですから、演奏の中にすでにストーリーが形成されている場合が多いのです。
少なくとも、僕が聴いて育ったジャズの大半は、そのストーリーに比重を置いたものが中心でした。やたらとスピードとスリルを求めただけの音楽には興味が無かったからです。

そんな中にマイルス・デイビスという人もいます。
比較的ジャズを聴き始めた初期の頃に出会ったミュージシャンの一人ですが、とても大きな感動と共感を持ちました。

最初の頃に手にした「カインド・オブ・ブルー」というアルバムが決定的にマイルスの虜となる切っ掛けで、その中の“フラメンコ・スケッチ”という曲を小学校の頃に窓の外に流れる雲を見ながら何度も何度も聞き返しては楽しみました。

この人の音楽にはいつも「絵」があるんですね。
グワングワンの大音量ファンク・ビートで連続演奏している時代も、スタンダードを新しい解釈でアナグラムしていた時代も、クール・ジャズを演奏していた時代も。。。

もちろん「死刑台のエレベーター」という映画のサウンド・トラックを本人も演じているのですが、サウンド・トラックでなくても「絵」の見える音楽でした。

なのでこの「シエスタ」を聴いた瞬間にそのサウンドから思い出したのが数十年前に聴いた“フラメンコ・スケッチ”だったのです。

もちろん周りのサウンドは1980年代らしくエレクトリック。世の中にはそんな事に目くじらを立てる人もいますが、僕はどうだっていい、と思っています。
音楽は何もアコースティックだけが優れているわけではありません。
一番大切なのは、その時代のその瞬間に必要な音が存在するかどうか、です。

このアルバムはそういう意味ではとても“聴きやすい”仕上がりでしょう。サウンド・トラックという事で音楽の密度が少ないからか?
いえいえ、そこにマーカス・ミラーという才能が全体を上手くバランスさせているのです。
完全な背景と成り得ないサウンドに隙間を与えて「真ん中」に画が入るスペースを作っているのですね。
それが音楽だけを聴く時、聴き手が安心して入りこめるスペースでもあるのです。
通常のアルバムよりも安心して入れるのですよ。

マイルスのアルバム「カインド・オブ・ブルー」にも「イン・ナ・サイレント・ウェイ」にも「パンゲア」にもそのスペースがあります。それはそこで演じているミュージシャンの為のものなんですが、いい具合に聴き手も入りこめるスペースなんですね。

前に僕はマイルスのアルバムで空白地帯があるとココで書きました。
バンドからジョージ・コールマン(ts)が去ってウェイン・ショーター(ts)が加わってからジョー・ザビヌル(kb)が入るまでの数年間のアルバムです。
ウェイン・ショーターは大好きなサックス奏者なのですが、僕の個人的な好みでは、ウェインが入ってからのマイルス・バンドは、その隙間がウェインの才能で埋まってしまった感じがしてならなかったのです。

この、隙間だらけの「シエスタ」を聴きながら、今はっきりとその事がわかりました。
不思議ですね。

でも世の中のジャズファンはウェインの入ったマイルス・バンドが大好きです。
僕はきっと“あまのじゃく”なんでしょう。
いいんです。それで(笑)

おしまい




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