2008/5/30

使い方を考えよう!4マレット奏法・・・その5  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第九十六回目の今日は先週からの続きで「使い方を考えよう!4マレット奏法・・・その5」です。

このところオープン・ヴォイシングの話しを連続させていますが、ピアノのように10本の指で自在に音を組み合わせる事が出来ないヴィブラフォンやマリンバにはオープン・ヴォイシングが必須です。

奏法としては現在マレットを片手に3本ずつ、計6本を持つ事がヴォイシングの理屈では可能ですが、実は6本は「臨機応変」なコード・カンピングには向かないのです。
なぜなら、6本の内、開閉を自在にコントロール出来るマレットが何本あるでしょう?
マレットを6本持つだけでも必死で、基音側と派生音側の鍵盤を自在に組み合わせての演奏はほぼ不可能。少なくともクロスグリップでは限界で、インディペンデント・グリップにはその可能性が残っているかもしれませんが、誰かが新しい事を開拓しないと無理です。

コードの勉強をすれば和音としては4個の選ばれた音があれば十分コードサウンドの演出が可能な事がわかるので無理に6本もマレットを使う必要はありません。
たくさん音を出すとそれだけ他の和音楽器やベースの音域との干渉が増し、アンサンブルやバンドとしてのニーズを自ら閉ざしてしまう危険性があるからです。
この点はこれから勉強する人は十分理解してチャレンジしてくださいね。

■モードジャズに見るオープン・ヴォイシング

さて、オープン・ヴォイシングは解説すると(特に譜例などを見ると)厄介な物のように感じる人がいるかもしれませんが、アドリブの物真似をするよりもサウンドの真似事が簡単に出来るのです。旋律となって常に動くインプロのメロディー・ライン(ソロ・ライン)には一人の演奏者でも様々なバリエーションがあり、とても全てをコピーして真似事に至るには時間がかかります。でもそれぞれの奏者独特のコード・サウンドを真似するのはメロディー・ラインに比べればバリエーションも限られていて簡単なのです。
それは法則さえわかれば誰でも「だれだれ風」のコードサウンドが弾ける、という言わば音符に書かれたサウンドの次に簡単に“似た”音が出せるものです。

自分の話しをすると、オープン・ヴォイシングとの出会いはジャズを聴き始めた直後にこのアルバムを聴いてピアノで真似して弾いた事から始まりました。

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『KIND OF BLUE/Miles Davis』(cbs/1959年)

その中の超有名曲の“So What”(マイルス作)の冒頭のサウンドは実にピアノで真似しやすかったのですね。ちなみにアルバムのピアノはビル・エバンス。

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この曲はKey of D minorですが、調号の付くBbの音をナチュラル(13th)にするドリアン・モードで作られています。途中敢然にキーを半音上げてEbm (もちろんこれもドリアン・モード)への転調を行き来する曲で、コードは二つしかありません。

冒頭のピアノのヴォイシングの内、ヴィブラフォンやマリンバの伴奏として使える音域(ヤマハから出版している「レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン/赤松著」などを参照)は上部4声。これをピアノで弾いてからヴィブラフォンに置換えて練習したのですね。なので最初の頃はDm7というコードネームも知らずに「ピアノの白鍵だけで演奏出来る」。「次は黒鍵だけで。でも“ド”はいいみたい」という実に直感的で(笑)あやふやな感じで始めたのです。

今考えると「完全な誤解」なのですが、1小節めの各和音毎にコードネームがあるのものと勘違い。形が違えば何か変わるのだろうと思うのは理論を知らなければ当然の事です。だから譜面に書かれた重音符(和音)は全て個別のハーモニーと思っていたフシがあるんですね。それを高校でコードの勉強を始めた頃まで誤解していたのですから、もう、中学時代は感覚だけで演奏していたと言ってもいいでしょう。
ただ、ラッキーにも、それがモードというコード進行の簡素化を狙った音楽だったので小学生から中学生の時期の耳でも「かろうじて」自分の中ではサウンドや遊びが成立出来たのですね。
レコード(当時はCDじゃなかった)を流しながら一緒に演奏するのもギリギリながら出来たのは最初にモード・ジャズに興味を持ったからかもしれません。

この頃にもう一つ演奏した(正確にはサウンドの真似事をして遊んでいた)曲があります。

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『The Time Machine/Gary Burton』(rca/1966年録音)

先の“So What”はまだヴィブラフォンよりもフルートやギターに興味が沸いていた時期のものですが、ギターのラリー・コリエルを追っかけている内に出会ったゲイリー・バートンの“The Sunset Bell”(バートン作)という曲の別バージョン(元バージョン)を求めて辿り着いたこのアルバムで決定的にヴィブラフォン奏者を志す切っ掛けを得ました。

それが2曲目に入っている“6-Nix-Quix-Flix”(バートン作)という6/8拍子の曲。
この曲のバックでは次のような(今思えば)オープン・ヴォイシングのバリエーションが聞こえていたのです。

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このバックグラウンドの上にテーマのメロディーが加わるのですが、僕の耳はこのバックグラウンドに釘付けでした。
家のピアノでコピーして(当時は家にヴィブラフォンがなかったので)中学の吹奏楽部のヴィブラフォンを口実を付けては放送部で借りて密かに練習(笑)。このバックの音を出すとこれが実に「快感」。ピアノでは得られない“フンコー”があり、一気にヴィブラフォン道へ突入です。

この曲はKey of E ですが4番目の音が半音上がるスケール(リディアン・モード)で出来ています。(途中でEbのリディアン・モードに転調)
スケールの中で僕は一番リディアンが明るいと感じるのですが、いかがでしょう?

ちなみにこの『The Time Machine』はCD化されていないアルバムなので以下のスタン・ゲッツのアルバムで聴く事が出来ます。

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『NOBODY ELSE BUT ME/Stan Getz』(verve/CD化1994年/1964年録音)
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『GETZ AU GO GO/Stan Getz』(verve/CD化2006年/1964年録音)

今日の2曲で見るように、伴奏としてオープン・ヴォイシングを考える時に、一つのコードネームからいくつものバリエーションを作る事がサウンドの面白さの発見に繋がります。
演奏する上でもドリアン・モードとリディアン・モードはアヴォイドノートを含まないスケールなので組み合わせも自在に遊べます。
なので、ここに出した伴奏はその小節に記されたコード・ヴォイシングのバリエーションである、という事を理解し音を出して確認しましょう。出来れば12の調に移調して練習するのを勧めます。

先週のオープン・ヴォイシングと合わせて考えると、カンピングのさらに大きなヒントが広がります。

チャレンジあるのみ。

そして、世界中のヴィブラフォン、マリンバ奏者のヴォイシングも聴き比べ!?
赤松敏弘MySpace
チェキラ!

おしまい




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