2008/7/18

使い方を考えよう!4マレット奏法・・その10の続編・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第百三回目の今日は先週からの続きで「使い方を考えよう!4マレット奏法」シリーズその10の続編。

コードを見ながら共演者の演奏を聞きつつ、伴奏をその場で作る事をカンピング(Comping)と言い、ヴィブラフォンやマリンバでジャズやポピュラーを演奏する場合には絶対必要とされるものです。

先週はコードのヴォイシングとリズムについて書きましたが、コードトーンの内のrootと5thを極力テンションに置き換える事で新たなサウンドが生まれる事がわかったでしょう。

しかし、音域(楽器叉はセクションとしての常用音域)と同時発声音数(4マレットなら4個)に制限のあるヴィブラフォンやマリンバでは、テンションの多様によって和音の具体性が薄れる事も事実。たった4個の音でコードの素性を表現する為には、より合理的に和音としてのサウンドを作る事も考えておく必要があります。

譜面に書かれた音符を丸暗記する音楽と違ってその時の状況(共演者や共演する楽器)はまったく予測できないもの。自分の中に一つの確信を持って演奏しなければカンピングにはなりません。様々な方法がありますが、今回は「ヴォイシングの共有」というヒントに触れておきます。

ヴィブラフォン叉はマリンバ奏者で、ちゃんとインプロヴィゼーションを演奏している演奏者のサウンドにはそれぞれ個性があります。

それは演奏者の趣向の反映で、自分の趣向に合うプレーヤーのカンピングを研究する事で「目指すサウンド」を早く手に入れる事が出来る反面、画一的に「こうあるべき」という法則を当てはめてしまうと自分の個性を伸ばす事への弊害も生みます。
「入口」は好きなサウンドを持つ奏者であれば誰でも良いですが、いつかは「出口」から外に出て自分の足で歩かなければならないのはこの世界の宿命です。最初は真似でも、一人立ちの時に真似では音楽に発展がないからです。

コード楽器(ピアノ、ギター、ヴィブラフォン、マリンバなど)の演奏スタイルの中で最も真似しやすいのがカンピング。メロディー(インプロ)の演奏は同じプレーヤーでも日々変化するのでインプロ(アドリブ)のコピーは「人生の中の一瞬」を切り取ったに過ぎずあまり意味がありません。
少なくともコード楽器の演奏者は自分が作るコードサウンドを根底に持ちながらソロを演奏しているものなので、カンピングのスタイルをコピーする方が得るものも大きいのです。

たとえば、デビッド・フリードマン氏はマイナー・セカンド(短二度)の音程を持つヴォイシングに美学を持って演奏しているし、師匠でもあるゲイリー・バートン氏は内声のラインクリシェに美学を持って演奏しています。そのカンピングにおける美学は必ずソロに反映されてそれぞれのプレーヤーの個性となって音楽が生まれているわけで、実は音楽の中でカンピングの占めるウエイトはかなり大きいのですね。
かくいう僕もココで解説しているようなサウンドに美学を持っているわけです(笑)

どんなスタイルであれ、自分で「確信」を持つ事が目標ですから、そういう耳や目で音楽に触れる事を勧めます。

■ヴォイシングの共有

例えば、Medのテンポで目まぐるしくコードの変わる曲。
しかし、よく見ると同じトナリティーの中で行ったり来たりしている場合があります。
スタンダード曲「My Funny Valentine」のブリッジ(Bメロ)の部分など。

コード進行に対して基本的なヴォイシング(左手にトライトーン、右手にRootと5th)を配置してみましょう。

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(クリックで拡大/以下同じ)

この曲はCマイナーの曲ですがブリッジはEbメジャーに転調します。
このブリッジ冒頭の部分はコードこそ三種類ありますが、みなEbメジャーのダイアトニック・スケールコード。(EbMaj7=Tonic、Fm7=Sub_Dom、Gm7=Tonic)
今日のテーマが「ヴォイシングの共有」ですから、同じトニックのIMaj7とIIIm7のヴォイシングを共有させてみます。
ダイアトニック・スケールコード等の基本的な音楽用語の解説は『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン』(ヤマハ)などのコード理論書を参考に。

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このようなヴォイシングを使えば、「あっちへ行ったり、こっちへ行ったり」という目まぐるしさから解放されて、サウンドに耳が集中出来ます。

さらにこのEbMaj7(=Gm7)のヴォイシングは同じEbメジャーのダイアトニック・スケールコードのAbMaj7(=IV Maj7)にも適用出来ます。
同じキーのダイアトニック・スケールコードであれば、ヴォイシングにトライトーンの3rd又はb3rdがあれば共有する事が出来るわけです。

『ひと粒で三度美味しい』?ヴォイシングって事ですね。

この事はスケールを弾く時のダブルストロークによる手順の共有化と同じ発想で、発声に制約のあるヴィブラフォンやマリンバを演奏する上で知っておかなければ「取り越し苦労」してしまうポイントなのです。(スケールの練習法については06年10月6日の第二十八回:基本はRudimentsを参照)

世界のマレット奏者の手元に注目してみよう!
赤松敏弘MySpace
チェキラ

おしまい




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