2008/8/21

これは記録型ピアノトリオかな? Steve Kuhn(p)  木曜:Jazz & Classic Library

奇妙なパフォーマンスとキンキラキンのシューズが見ていても楽しいジャマイカのスプリンター、ボルト選手。

いいですねぇ、ああいう型破りの選手を見ているとちょっと記録型スポーツが楽しくなります。

持って生まれた身体能力で世界記録を塗り替えちゃった。

オリンピックの競技は大別すると、実数がそのまま記録となる競技と、審査員が評価を下す評価型競技の二つにわかれますね。

みなさんはどちらが好きですか?

僕は記録型ですね。
見たまんまだし。
評価型競技というのは多聞に好みが反映されるので納得出来ないものもありますから。

でも、もしも、陸上競技に評価型の審査(例えば、走る姿の芸術点とか)があると、ボルト選手とかボロクソかもね(笑)

「ありゃただ早いだけだ」な〜んて評価する審査員もいそうです。
所詮、評価とはそんなもの。

そうなると音楽ってどうなんでしょ。
音楽に得点とかは無いですが、古典的な音楽は評価型、近代の音楽は記録型という見方もできるような気がします。
要するに、誕生の瞬間を目撃出来るものと出来ないもの、そんなところに分かれ目があるのではないでしょうか。

今日のスティーブ・キューン(Steve Kuhn)については二度目。
この人の音楽も賛否両論を撒き散らしながら今日に至るのですが、ある意味で時代にとても敏感に反応した「ストレート」な音楽を演奏していると言えます。

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『THREE WAVES/Steve Kuhn』(flying dutchiman/1966年)

この「スリー・ウェーブス」は数あるキューンの作品の中でも評価の高いものです。
ことあるたびにキューンとなるとこのアルバムを引き合いに出す人もいますが、僕としてはこのアルバムと双璧に思って07年1月11日のブログで紹介している『CHILDHOOD IS FOREVER/Steve Kuhn』(BYG/1969年)のほうが自分の好みには合います。

ただ、「チャイルドフッド〜」のほうは、そのアルバムのドラマー、アルド・ロマーノがヨーロッパにいたキューンと、ヴィブラフォンのゲイリー・バートンのバンドでツアー滞在していたベースのスティーブ・スワローを引き合わせてプライベートに録音したセッションだった事、スワローは当時完全にアコースティック・ベースを卒業していてエレクトリック・ベースしか持ち合わせていなかったので急遽ロマーノの友人のアコースティック・ベースを借りて演奏している事など、コンセプトにはかなり曖昧さがあって評価がわかれているのですが、演奏は凄い!

その点ではこの「スリーウェーブス」はコンセプシャルに構成された作品であることが今でも高い評価が聞こえる所以でしょう。

いきなりカーラ・ブレイの名曲“IDA LUPINO”から始まります。
僕はこの曲が昔から好きで、究極のお気に入りはポール・ブレイのピアノソロアルバム『OPEN TO LOVE』(ecm)なんですが、同じポール・ブレイのピアノトリオによる同曲の演奏よりはこのキューンの演奏は好きかな。
・・・かな、そう言いたくなるほどにこのアルバムではホントに序の口なんですね。

グッとムーディーなアル・コーンの“AH - MOORE”が一瞬緊張の糸を解すかに思えたのもつかの間、ソロが進むにつれキューンのピアノ独特の恍惚美に惹き込まれてゆく。

続くオリジナル“TODAY I AM A MAN”辺りからトリオの演奏はヒートアップ。
ピート・ラロッカ(ds)とスティーブ・スワロー(b)が最高のグルーヴを提供し、キューンのピアノが自由奔放に駆け回る、というこの頃のキューン・トリオの醍醐味を存分に。

やはりオリジナルでコンテンポラリーな“MEMORY”になるとキューンの恍惚美は最高潮に達する。

まるでここまでの緊張から身体を解すかのようなボサノヴァ“WHY DID I CHOOSE YOU?”でホッと一息。

ちょっと当時のキース・ジャレット・トリオを思わすようなワルツのタイトルチューン“THREE WAVES”、等など、、かなりコンセプシャルに曲も演奏の表情も変化しながら、スタンダードチューン“NEVER LET ME GO”なども交えて到達するのが8曲目のオリジナル“BITS AND PIECES”。
ピアノトリオという枠を三人の演奏者がどこまで広げられるかにチャレンジした記録。

そして最後にまるでバンドのテーマソングのように短い“KODPIECE”でビシッとアルバムを締め括る。

なんというのでしょうね。
まだ誰も踏み入れていない音楽のエリアがたくさん残っていた頃のパワーというか創造心というか、そんな「真っ直ぐ」な視線を感じるアルバムなんですね。

その先に見えていたものを今日まで繋いでいるキューンに脱帽。

世界には未来へのチャレンジもたくさん
赤松敏弘MySpace
チェキラ!

おしまい




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