2008/8/28

秋色が見えたら今年はリピューマ?  木曜:Jazz & Classic Library

例年だとこの時期になると聴きたくなるラルフ・タウナー率いる『OREGON』にはまだちょっと早いような気がする。
別にこの夏の暑さが普段と格別に変わっていたわけじゃないのに。



なんでしょう? ひょっとすると、ベイジン・オリンピックが予想以上に面白かったりして、身体の熱線にまだ火照りが残っているからでしょうか。

それでも、季節は確実に「秋」モード。
日暮れから早朝にかけては、頭のテッペンというか鼻の奥のほうで“ピン”っと秋を感じるセンサーが動き出しているのです。

ちょっと早めにブログも秋モードに衣替え。

そんななので、今日は『この夏の終わりに秋を感じて聴く』お薦め盤。
過去に紹介したアルバムでも、今年のこの時期イチオシ(いやニオシか?)。
是非聴いてみてね。

■その1

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『ABANDONED GARDEN/Michael Franks』(warner bros/1995年)

マイケル・フランクスと言えば、1970年代後半に“アントニオ’ズ・ソング”が日本でもヒットしたAOR界の今や重鎮。
80年代から90年代にかけて数々のAOR(アダルト・オリエンティッド・ロック)の歌手が登場するも、常にマイペースにコンスタントにアルバムリリースを続けている。
他のAOR歌手がポップ指向、大作指向だったのに比べて、マイケル・フランクスはよりジャズ指向。これは登場以来変わらない。
人を無理やりのせてやろう、こうやれば感動的だろう、みたいな「大見得」性がこれっぽっちもない。
もちろん、彼独特のヴォイスもそうだけど、音楽の背景が実にジャズ。ジャズコンボ的な隙間だらけのサウンドがいい。
それでいて曲の完成度が高いから、ちょっとジャズが好きな人には抵抗がないだろう。

だからいつも彼のアルバムを見かけて買う時は視聴などしなくても“安心”して買える。
そして、必ずその時代の音が聞こえる。

このアルバムは1994年に亡くなった偉大なブラジルの作曲家、アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げられている。
思い返せば、あのヒット曲“アントニオ’ズ・ソング”も敬愛するジョビンへのオマージュ。
このアルバムは全編にジョビンへの憧れが散りばめられている。

チャック・ローブのギター・イントロから入る1曲目“This Must Be Paradise”からして背景はボサノヴァ。
このアルバムのコンセプトにごく自然に誘われる。
1曲目だからと気負った空気など微塵も無い。
後は“安心”してステレオのヴォリュームをミドルにセットし、くつろげばいい。

中にはジョビンの隠れた名曲“Cinema”が、これまた実にいいラフなジャズセッション風に聞こえてきたり(サックスのソロが今は亡きマイケル・ブレッカーでこのソロがまた泣かせる、、、)、突然イントロで聞こえるフリューゲルがあの伝説のアート・ファーマーだったりする“In The Yellow House”(しかもこの曲のベースはスティーブ・スワロー!)、ジャズファンなら驚きの連続のサイドメンが集結している。ファーマーとスワローの組み合わせなんて、かつてのアート・ファーマー・カルテットを知るコアなジャズファンは腰を抜かすだろう。

そんなエピソードを除いたとしても、これは近年のマイケル・フランクスのアルバム中最高峰の出来だと思う。
かつての『スリーピング・ジプシー』(“アントニオ’ズ・ソング”収録)と双璧のお薦め。
去り行く夏の陽射しと、辺りを静かに染めて行く秋の気配にピッタリ。


■その2

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『AMOROSO/Joao Gilberto』(warner bros/1977年)

あれ?偶然にも二枚ともワーナーブロスのアルバムだ。
今でこそレコードレーベルというのはディストリビュートの元締めでしかないけど、80年代までは各レコード会社毎のカラーがはっきりしていた。
アーチストがレーベルを移籍するだけでプロデューサーや周りのブレーンも変わり、当然音楽の方向性、サウンドまでも変わったものだ。
今や大半がチープなアイデアを販売戦略に載せるだけに躍起で、嫌気が差した優秀なプロデューサーがみんな独立してしまって久しい。
ある意味メジャーレーベルの音楽がプライドを持っていた全盛期のサウンドとも言えるこのボサノヴァの神様・ジョアン・ジルベルトのアルバム。
これがまた秀逸。

ふんだんに取り入れたストリングス・セクションによるアレンジはアントニオ・カルロス・ジョビンのアルバムでもお馴染みのクラウス・オッガーマン。
ゴージャズとも言える彼のサウンドはこのアルバムの要で、特に2曲目の“Estate”では普段通りのジョアンのピュアな歌声を叙情的な世界へと誘う。
ボサノヴァのアレンジャーとしてこれほど無駄のない、それでいて豊かな背景を演出するアレンジャーはいない。

僕は特にこの“Estate”のテイクが好きだ。
昔々、感傷に浸りたかった時に夕焼けで染まる海を見ながら聴いたことがある。
何度もこの曲をリピート(当時はカーステレオ)して思いっきり感傷に耽ろうとしていたのだけど、だんだん感傷よりも夕陽とこの曲とのコントラストの見事さにハマッテしまい、結局夕陽と海と曲に感動して帰ってきた(笑)。ま、音楽は何ものよりも大きいのだ、と結論。若かったね〜。

それはさておき、このアルバム、そのメジャーらしさが実に良いバランス。
時に“Besame Mucho”なんかも聞こえてきてジョアンのアルバムとしては破格のアピール。
1曲目からしてジャズ・スタンダードの“'S Wonderful”がボサノヴァに化けてるし、ボサノヴァで一番ポピュラーなジョビンの“Wave”や“Triste”まである。

こりゃボサノヴァのベストアルバムみたいな企画臭プンプンか・・・・?

そう思いたくなるような選曲も、ジョアンとオッガーマンの組み合わせで至高のアルバムに早変わり。
この辺りがインディーズでは決して出来ないメジャーならではの見事なトータルバランスが生きてる時代だった。

なので、最初にレコード店で見かけた時(当時はLP)、「どうかな〜?」と一瞬迷ったくらい。

でも、帰って聴き始めてから、今日まで最も繰り返し聴いたジョアンのアルバムとなった。

プロデューサーはトミー・リピューマ。

なんと前出のマイケル・フランクスの、あのミリオンセラー・アルバム『スリーピング・ジプシー』を手掛けたその人だ。


ぼちぼち世界の秋を探しに行こう!
赤松敏弘MySpace
チェキラ!

おしまい





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